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第1特集
求めるものはゴクミ? 上戸彩? 国民的美少女コンテストの前途【3】

上戸彩を発掘した中森明夫氏は何を思う? "国民的美少女"幻想と矛盾

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第7回の受賞者。左から2番目の小さい子が、上戸彩。想定外の受賞枠数増加だったため、受賞者用のタスキが足りず、上戸にはなし。

――以下、中森明夫(談)

 「全日本国民的美少女コンテスト」は、「美少女コンテスト」というタイトルをつけたことが成功のいちばんの理由だと思う。「美少女」という記号は、「チャイドル」や「ジュニアアイドル」と違って、時間に左右されることなく、価値のあるまま流通している。もしかしたら「アイドル」という言葉よりも、社会に対する影響力が大きいかもしれない。いまだに「美少女」という言葉が通用するのは、日本のいわゆるエスタブリッシュな人々に強固な美少女幻想があるからでしょう。

 第1回開催から20年以上たってだいぶ芸能界も変わったけれど、いまだに物事の決定権を握っているのはオッサンだ。オッサンたちは娘としての美少女をCMに使いたがる。大作映画でも、美少女のための椅子はひとつは用意されている。誰を起用するか決めるのは60~70代くらいの監督。そうすると、「いまどきどこにこんな子が」というような絵に描いたような美少女が起用される。

 私が審査員として参加した第7回は、グランプリを取った須藤温子に圧倒的に票が集まった。でも、私は上戸彩がいいと思った。社長もそう思っていることがわかった。でも、社長はゴリ押ししない。私は、まだ12歳で体も小さな上戸を推すと、ロリコンと思われるんじゃないかと心配だったが、「彼女は賞に入れたほうがいい」と強弁した。審査員にいたレコード会社の幹部や大物デザイナーは賛成しなかったな。歌唱賞をあげると自分のところから歌を出さなきゃならないし、モデル賞にするにはちっちゃいしということでしょう。急遽、審査員特別賞の枠を増やして、そこに入れることになった。あそこで私が言わなかったら、上戸彩は芸能界にいなかったかもしれない。だけど、マンガの『上戸彩物語』(フラワーコミックス)を見ると、審査会場で社長が「この子だ!」と決めたことになってる。ひどいよね。私のことなんて描かれてない(笑)。
 
 上戸は、ちょっとイモくさい。でも、国民的美少女コンテストはイモくさいほうがいい。最近は外国育ちの子が出てきて洗練されてきたが、エリートモデルルックじゃないんだから。最初から完成されている子はだめ。

 そもそも、国民的美少女がコンテストなんかで選べるのか。本当の美少女が「お願いします」と審査員の前で頭を下げるものなのか。そういう矛盾もある。そこがおもしろいところでもあるんだけど。
 
 堀北真希や黒木メイサ、南沢奈央、桜庭ななみなどを発掘して、今、美少女系事務所ではいちばん勢いのあるスウィートパワーの岡田直弓社長は、かつてメロディハート在籍時に、全国3000校を回って瀬戸朝香をスカウトしたという。1校1校で「かわいい子知らない?」と聞き込みをしたらしい。まあ、昔の記事を見ると1000校、2000校だったりして、だんだん話が膨らんできてるんだけど、それにしてもすごい。これは、コンテストとは逆のやり方。大きな網を仕掛けて、大量の魚を捕獲して、その中から鯛を見つけるのがコンテストだとしたら、そうしたスカウトのやり方は、いわばマグロの一本釣り。そういうところに、芸能界入りに意欲的じゃなかったり、コンテストのために上京してこられないような子が引っかかって、売れちゃったりする。

 考えてみると、美少女っていうのは、はたしてなんなのか。職業なのだろうか。いちばん向いている仕事はCMだが、それ以外では歌手なのかモデルなのか女優なのか。難しいですね。米倉涼子のように「少女」という時期を越えてから、潜在的才能が花開く場合もある。そこがこのコンテストのおもしろいところだと思う。(談)

中森明夫(なかもり・あきお)
1960年生まれ。作家、コラムニスト。80~90年代にかけては、「おたく」「チャイドル」などの言葉を流通させ、サブカルチャー界の黒幕として"暗躍"。美少女・アイドル評論家として、新人の発掘や批評にも長年かかわっている。


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