クワガタが50万円、カブトムシが120万円!――“高額昆虫”の驚愕市場と新たなブーム

(取材・文/安楽由紀子)

YouTubeチャンネル「クワカブの部屋」の動画「もはや車…とんでもない価格のカブトムシに驚愕」より。

 ホームセンターで1000~2000円程度で売られているカブトムシ(以下、カブト)やクワガタムシ(以下、クワガタ)。「虫にお金を払うなんて……」と思う人もいるだろうが、カブトやクワガタは“黒い宝石”との異名があるように、2000年前後にはオオクワガタが一大ブームとなって高額で取り引きされたことがあり、今も希少種は数千円どころか専門ショップで数万~100万円代で販売されている。そんな驚きの市場が、近年はさらなる盛り上がりを見せているという。

 ただ、生きている昆虫を購入して飼育することが一般的な趣味とされているのは、日本独特のようだ。世界的にみれば、標本収集のほうが歴史が古く、市場は広い。

 2001年からカブトやクワガタを中心に販売している昆虫ショップ〈Ultimate Mika KABU KUWA(アルティメットミカカブクワ)〉の店長・三ケ島幸助氏は、次のように語る。

「当店ではハナムグリやカマキリも扱っていますが、購入者はごく一部に限られます。主力は圧倒的にカブトとクワガタ。ここまでお金をつぎこんで飼育するのは日本人くらいでしょうね。この5年ほどで、タイ、中国、台湾、韓国でカブトやクワガタのブリードを行う若者が少しずつ現れるようになりましたが、自国に昆虫ショップがあまりないので、当店を含め日本のショップまで買いに来ますよ。また、日本では女性ブリーダーも増え、裾野が広がってきています」

 関東最大級の昆虫類・爬虫両生類・小動物ショップ〈LUMBERJACK(ランバージャック)〉の店長・山口学氏も、昆虫マニアの広がりを感じると話す。

「当店がオープンした約20年前までは、まだまだ『いい大人が昆虫を飼うなんて恥ずかしい』という世間の風潮があり、この業界も小さいものでした。近年はSNSやYouTuberの影響で購入層が広がり、昨年あたりから新たなブームの兆しを見せています。子どもと一緒に当店にカブトやクワガタを見に来たお父さんがハマるパターンも多いですね」(山口氏)

 中でもYouTuberの影響は大きく、〈Ultimate Mika KABU KUWA〉でも、お笑い芸人であるスタンダップコーギーの三森大輔氏によるYouTubeチャンネル「クワカブの部屋」を見て購入したという人は、把握しているだけで100人を超えているという。

わずかな寿命に大金を注ぎ込むマニア

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