北朝鮮のサイバー攻撃部隊は他国のゲーム会社に就職しハッキングの機会を狙う

――昨今、その資源の豊富さに注目が集まる北朝鮮。そのビジネスへの関心から、IT環境にも目がいくようなった。“生死”をかけて技術を磨く祖国・北朝鮮のIT事情を在日韓国人ジャーナリストが追いかける。

『ゲームプログラマになる前に覚えておきたい技術』(秀和システム)

 2010年5月のある日、中国遼寧省の省都・瀋陽の中心部にある大型の北朝鮮レストラン「七星食堂」に、北朝鮮の若者たち数十人が続々と到着した。中国や東南アジアにある北朝鮮レストランの多くは、地元資本と北朝鮮の外貨獲得機関との合弁により運営されている。北朝鮮の貿易会社幹部が話す。

「例えば中国では、地元資本が不動産の確保と食材の供給を担い、北朝鮮はスタッフを派遣。それでお互いの出資割合が5対5になるように調整し、利益を半分ずつ分け合うようになっている」

 北朝鮮が派遣するその“スタッフ”の多くは、ホール係やウェイトレスなど20代の若者たちだ。彼らは、商業大学のサービス学科で学んだ、裕福な家庭の子どもたちが少なくない。

 しかし、この日派遣されてきた若者たちが漂わせる雰囲気は、そんなスタッフたちとは明らかに異質だった。寡黙な折り目正しさは、海外で見かける北朝鮮の若者に共通のものだが、それに加えて、どこか硬質な緊張感を醸し出していたのである。

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