サイゾーpremium  > 連載  > 巨人のコーチになった異色の陸上選手【鈴木章介】
連載
不定期連載「東京五輪1964-2020」【7】

【巨人のコーチになった異色の陸上選手・鈴木章介】が語る東京オリンピック

+お気に入りに追加

2020年に五輪開催を控える東京と日本のスポーツ界。現代のスポーツ界を作り上げ、支えてきたのは1964年の東京五輪で活躍した選手たちかもしれない。かつて64年の東京五輪に出場した元選手の競技人生、そして引退後の競技への貢献にクローズアップする。64年以前・以後では、各競技を取り巻く環境はどう変化していったのか?そして彼らの目に、20年の五輪はどう映っているのか――?

1802_data_4411_520.jpg

すずき・しょうすけ

1802_data_4314_100.jpg

[陸上] 十種競技 15位

1936年11月11日生まれ。静岡県浜松市出身。中学から陸上競技を始め、高校時代には棒高跳びで高校日本一に輝く。早稲田大学入学後、十種競技に転向し58年アジア大会では日本代表に選出された。大学卒業後は大昭和製紙(現:日本製紙)に入社し、64年東京五輪に十種競技日本代表として出場。翌65年、当時の川上哲治監督の依頼を受け、プロ野球初のランニングコーチとして読売巨人軍に入団。第一次長嶋茂雄監督時代の79年まで在籍し、V9を含む巨人の黄金時代に大きく貢献した。


1802_data_4342_230.jpg

 五輪を境に、オリンピアンの人生は大きく変わることがある。東京五輪に陸上十種競技で出場した鈴木章介もその一人だ。

 1964年11月、まだ日本中が五輪の興奮からさめぬ中、鈴木は地元浜松の野球場にいた。彼を呼び出した人物は、川上哲治。読売巨人軍の日本シリーズ9連覇、いわゆる“V9”に導いた、日本プロ野球史に残る伝説の名監督である。鈴木と対面し、川上はこう切り出したという。

「陸上競技のコーチに選手を鍛えてもらうと、非常に筋力も強くなり、足も速くなる、怪我も少なくなっている。だから専任で、選手を見てもらえないか」

 バットも持たない、グラブもはめない。プロ野球界初のランニングコーチ、今で言うトレーニングコーチとして、鈴木に白羽の矢が立ち、巨人のV9に大きく貢献。当時、巨人投手陣の一角を占めていた城之内邦雄をして「V9最大の功労者は鈴木章介さん」と言わしめたほどである。

 現代なら、技術的な指導とは別に、コンディションを整えるためのトレーニングコーチをつけるのは当たり前。だがそんな前例もない時代に、鈴木は選手個別のトレーニングメニューを組み、指導を行っていた。そんな彼の起用の背景には、選手時代に自ら知恵と工夫を絞り続けた、その競技人生にある。

 鈴木は、静岡県浜松市出身。陸上競技を始めたのは意外に遅く、中学2年生の途中からであった。

「幅跳びや三段跳びをやっていたんですけど、最初は市内の大会でも予選落ちですよ。3年生になったら、市内の大会は勝ち進むんだけど、県大会は予選落ち。そんな成績でしたね」

 決して飛び抜けた才能に恵まれていたわけではない、そんな鈴木に飛躍のきっかけを与えたのは、顧問の教師であった。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年1月号

禁断のマンガ大全

禁断のマンガ大全
    • 現役【マンガ編集者】座談会
    • 残虐化【ヤンキーマンガ】新潮流
    • 【今日から俺は!!】トンデモVシネマ
    • 【マーベル】スタン・リーの光と影
    • 【スタン・リー】と日本の関係
    • 万歳!【愛国/排外】マンガの変遷
    • マンガ【艦隊シリーズ】の歴史修正
    • 【さくらももこ】の死生観
    • 【セックスフラペチーノ】コジコジ愛
    • マンガの【ヒップホップ】描写
    • この【中東マンガ】がアツい!2018
    • 間違いだらけの【中東描写】
    • 急成長を遂げる【海外マンガ】
    • 【アルジェリア】のマンガ
    • いま、【歴史学習まんが】が面白い
    • 【伝記まんが】の流行はアノ人!
    • 【福祉問題】を知るマンガ11選
    • 【都条例】に狙われるBLの中身
    • この【不健全BL】がやばい!
    • マンガ家【超高齢化】の哀楽

Fカップ平嶋夏海、罪で"H"なマンガ

Fカップ平嶋夏海、罪で
    • 【平嶋夏海】元AKB大胆セクシー

NEWS SOURCE

    • 内部告発が噴出【エイベックス】
    • 【みずほ銀行】の負の遺産
    • 【リーディングミュージアム】の顛末

インタビュー

    • 【岡田結実】母から教わった家庭内ルール
    • 【折坂悠太】平成最後の傑物が平成を歌う
    • 【祭nine.】ボイメン弟分が芸能界の荒波に挑む

連載

    • 【岸明日香】陰キャなんです。
    • 【山崎真実】お歳暮のハムになる
    • 【恭子】のキスを数えましょう
    • 【AIとブロックチェーン】が「個人の時代」を実現!?
    • 【貴乃花】が政界進出へ足固め?
    • イッテQの【祭りの捏造】は悪か?
    • 中国から【現金を消滅】させた企業の正体
    • EDM教祖は極左翼!越境しまくる【アオキさん】
    • 町山智浩/『グリーンブック』
    • 【北方領土問題】と日露の思惑
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子の「ドラッグ・フェミニズム」
    • 「念力事報」/He is gone.
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【椎名林檎】いつまでもメンヘラ女に夢を見るな
    • スラッシュの息子がバンド結成!「クラスレス・アクト」
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 【野生酵母】でビールを造る伝説のパン屋さん
    • 【ポルノ雑誌】と呼ばれても…
    • 幽霊、美少女たちの箱庭と4コマ史。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』