サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > ASKAに捧ぐ!【麻薬文学】

――ファンタジーやノンフィクションなどで、ドラッグを取り扱った文学は多い。かつてはビートニク世代と呼ばれる小説家たちが、盛んにドラッグを文学に取り入れていった。翻って現代日本ではどうだろうか? コンプライアンスが厳しくなった昨今、果敢にドラッグを小説の題材に取り入れた作品を紹介していく。

1701_bungaku_230.jpg

──ドラッグを扱った文学作品を紹介していく本企画。まずはドラッグと文学の相性について伺いたいです。

石丸元章(以下、石丸) 僕は書く立場なのでドラッグをよくモチーフに使うんですが、実に使い勝手のいいアイテムなんですよ。物語の中である日突然、狂ってしまう人物って描きにくいじゃないですか。でも、その理由としてドラッグは最適というか、使いやすいんです。

海猫沢めろん(以下、) すごくわかります。新人賞の下読みをしていると、主人公が破滅する理由としてドラッグが出てくることが多々ありますから。ただ、「この作者、絶対にやったことないだろ」って思うことが多い。一口にドラッグと言ってもアッパー系、ダウナー系、サイケ系とあるのに、その区別すらない作品もありますからね。

磯部涼(以下、) 作者がドラッグをやっているか、やっていないか。ドラッグ文学を語る上では、根本的な話になりますよね。ただ、ドラッグをやっている最中は、文章を書けないでしょう? 書いてもシラフでは読めたものじゃないというか。

 書けないし、書くよりも楽しいことすると思います。そもそも作者がドラッグをやっているかどうかも読み手の想像になるけど。例えば、文学で思いつくのは芥川賞を取った篠原一さんの『壊音 KAI-ON』【1】、あれはなんとなくやっていない気が。あと、日本で一番有名なドラッグ文学といえば、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』【2】ですけど……。

 うーん、どうだろう。ただ、描写を見ると、少なくとも書いているときはやっていない気がする。

 それこそ石丸さんの『SPEEDスピード』【3】は、やっている最中に書いたんですか? “シャブ乗り文体”というか、めちゃくちゃ好きな作品なんですけど。

 ありがとうございます(笑)。やってたりやってなかったり、フラッシュバックしてたり。もうメチャクチャです。

 やりまくってる時期ではあったと(笑)。ドラッグをやっている作者として有名なところでは、ヘロイン中毒だったウィリアム・バロウズがいます。彼の“カットアップ”という小説の手法も、普通には書けないから採用したんだと思いますが。

 そうそう。書いた原稿を切り刻んで、それらの言葉をランダムに並べる手法ね。『スピード』も全部で300枚くらいの本なんだけど、1000枚以上書いてカットアップもしてます。ドラッグがキマっている時に書いた文章って、段違いに饒舌になる。10行ですむフレーズを、100行以上書いてたりするんです。各所に奇妙で意味不明な部分も出現する。カットアップすると、雰囲気を残したままブラッシュアップできるんだよね。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年3月号

欲望の美人学

欲望の美人学

乃木坂46・斉藤優里のパジャマパーティ

乃木坂46・斉藤優里のパジャマパーティ
    • 乃木坂の太陽【斉藤優里】が登場!

インタビュー

連載

    • 【園都】サウナーなんです。
    • 【平嶋夏海】美尻アイドルの偏愛録
    • 【88rising】世界戦略の真実
    • 深キョン熱愛ショック!【恭子から俺は!!】
    • 世界中で議論される【AIと倫理】
    • 高須基仁/【エロ】の匂いを消すこの国に抗う
    • 映画【盆唄】に見る人々のたくましさ
    • 【ファーウェイ】創業者の素顔を追う
    • 【ブラック・クランズマン】に思うファンクとディスコの70年代
    • 町山智浩/【バイス】ブッシュを操る副大統領
    • 厚労省の【不正統計問題】と統計軽視の代償
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 笹 公人/【嵐】の夜に
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 稲田豊史/希代のマーケター【西野カナ】
    • 【アッシュ×スラッシュ】実弟が聞くキワどい話
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • ニコタマに地ビールを!【ママ友】たちの挑戦
    • 伊藤文學/【新世代ゲイ雑誌】の価値観
    • 更科修一郎/幽霊、【サイコパス】に救われたい人々。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』