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サイゾー的タブー破りの雑誌ガイド【5】

【宗教学者/島田裕巳】タブーなしの宗教誌では幸福の科学を批判してもOK!?

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島田裕巳(しまだ・ひろみ)
1953年、東京都生まれ。東京女子大学非常勤講師。新宗教の研究から世界の宗教まで幅広く研究し、数多くの著作を発表している。主な著書に『葬式は、要らない』(幻冬舎新書)、『日本の10大新宗教』(同)、『脱しきたりのススメ』(毎日新聞社)など多数。


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【1】「ザ・リバティ」
幸福の科学出版/95年創刊/520円
毎号、大川隆法総裁による霊言レポート(霊を降霊させて大川総裁が霊の言葉を放つ)が掲載。最近では、ネルソン・マンデラ、堤清二などが降りてきている。

──宗教系の雑誌といえば、入信を誘うようなことばかりが書かれていると思いきや……実は意外とそうでもない。そこで、島田裕巳氏に、数多ある宗教雑誌の中から、信仰の一線を越えた宗教雑誌をおすすめしてもらった。

 幸福の科学が出している月刊総合誌「ザ・リバティ」【1】の読みどころは、「ガチンコ対談」。これは不定期でゲスト(天台宗の総本山・比叡山延暦寺の荒行 「千日回峰行」を成した光永覚道大阿闍梨や、保守系雑誌・月刊「WiLL」編集長の花田紀凱氏など)を迎え、現編集長の綾織次郎さんと文字通り“ガチンコ”で対談するという企画で、真正面から幸福の科学を批判してOKなんです。だから両者がまったく歩み寄らないまま終わるという、教団にとっては布教にもなんの得にもならなそうな対談になる。実は僕も出たことがあるのですが、対談当日に編集長の綾織さんが「よく(取材を)受けましたね」なんて言っていましたから、ネタ的な要素もあると思います。

 ネタといえば、教祖・大川隆法の霊言(死者の霊、もしくは生者の守護霊を呼び出して本音を語らせる能力)レポートも毎号掲載されています。手当たり次第に有名人(の霊的存在)を登場させて、好き勝手に発言させる。もはやエンターテインメントとして定着していますね。そのほか、悪質な宇宙人を祓う祈祷など、オカルト情報誌「ムー」(学研パブリッシング)のような記事もある。換言すれば、「ザ・リバティ」は、雑誌の“雑”の要素がちゃんとある、本来の雑誌らしい雑誌といえるかもしれません。一応断っておきますが、一般の人がこの雑誌を読んでも、幸福の科学に入信するようなことはないと思います。

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