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第1特集
サイゾー的タブー破りの雑誌ガイド【4】

【ジャーナリスト/青木 理】変化球なノンフィクションを発信する週刊誌の強度

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青木 理(あおき・おさむ)
共同通信社警視庁公安担当、ソウル特派員などを務めた後、2006年からフリーに。近年の著作に『絞首刑』(講談社文庫)、『トラオ 徳田虎雄 不随の病院王』(小学館文庫)、『誘蛾灯』(講談社)など。


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【1】「週刊ポスト」
小学館/69年創刊/420円
講談社の「週刊現代」と双璧をなすサラリーマン向け総合週刊誌。お堅い政治記事からヘアヌード、(最近はやりの?)壮年セックス特集などの見出しが踊る。

──処女作『日本の公安警察』(講談社現代新書)以降、数々のノンフィクションを発表してきたジャーナリストが考える、雑誌ジャーナリズムの強度とは?

「月刊現代」(講談社)や「月刊プレイボーイ」(集英社)など、本格的なノンフィクションを発信する月刊誌が消えていった中で、現在奮闘しているのは「週刊ポスト」【1】じゃないでしょうか。拙著『トラオ 徳田虎雄 不随の病院王』はポストの連載をまとめたものだし、最近では高山文彦さんの長期連載や『ネットと愛国』(講談社)の著者・安田浩一さんによる中森明菜の半生記などが連載されました。それらを、あくまでも“変化球”という位置付けではあるんだろうけど、常に何本か掲載しているという意味でポストは、ノンフィクション発表の場を提供してくれている。ポストのライバル雑誌である「週刊現代」(講談社)も、最近はナマネタを追いかけるというよりも企画モノが中心でしょう。左右問わず総合月刊誌が少なくなり、週刊誌が全体的に月刊誌の様相を見せているとも感じてます。

 今はインターネットが速報を得るメディアとして重宝され、新聞は一次情報をさらに深堀りすることが求められるメディアへと役割を変えつつある。そして週刊誌が月刊誌化し、結果、休刊を余儀なくされた月刊誌が持っていたノンフィクション発表の場としての機能はポストや現代といった週刊誌の一部がかろうじて担っている。とはいっても、ノンフィクション発表の場としては、月刊誌と週刊誌の違いは確かにある。ポストで連載をやった際、表現規制はなかったけど、週刊誌に求められる書き方は意識した。もっとアクティブにというか、ドライブのかかった感じで書かないといけないかなって。そのあたりは月刊誌とは違います。

 それとは別の話だけど、週刊誌をはじめとする大手出版社の雑誌にはやっぱりタブーもある。例えばAKB48。週刊誌で書けるのは新聞社系か、「週刊文春」「週刊新潮」【2】くらいで、取材力も含めて多少なりともAKBタブーに斬り込んだのは文春ぐらいですよね。

 かつての「噂の眞相」【3】は皇室から政界、芸能界、文壇に至るまでありとあらゆるスキャンダルを掲載し、まさに“タブーなきメディア”として確固たる存在感を示していた。同誌が休刊して久しい今、あらゆるタブーに踏み込む体制ができている雑誌といえば「週刊金曜日」【4】かな。週刊金曜日が評価できるのは、オーナー店長が長時間労働を強いられていることや、本部のみが利益を得る仕組みを浮き彫りにしたセブンイレブン批判をしたときだけど、雑誌の販売拠点であるコンビニ批判ができる雑誌はそうそうない。電通もそう。え?「サイゾー」でも触れていたって?(笑)ともあれ、コンビニや電通は全雑誌共通のタブーでしょうからその心意気は買うんだけど、いかんせん、企画力と取材力と色気がない。広告主やスポンサーに頼らず、定期購読を主な販売形態にするという環境が整っているわけだから、それを生かしきれていないのは残念。あとは「フライデー」。張り込み班を中心とした写真取材の能力と熱意はスゴい。僕が関わった取材でいえば、拘置所で少年死刑囚との面会の様子を撮った際、何がなんでも写真に収めるフライデーの技術と執念は大したものだと思った。でも、先に挙げた雑誌だけじゃ雑誌ジャーナリズムとノンフィクションの将来を考えると心もとない感は否めない。タブーに切り込む気概のあるメディアが、ほかにももっと登場することを願います。

(構成/中城朋大 早稲田企画)

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【2】「週刊新潮」
新潮社/56年創刊/370円
週刊誌ジャーナリズムの一角を支える総合週刊誌。政治から芸能まで、これまで数多くのスクープを報じてきたが、新宗教団体・創価学会をめぐる報道には定評がある。


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【3】「噂の眞相」
噂の真相/79年創刊(現在休刊)
反権力、版権威を標榜した月刊誌。99年に放った検事長の愛人スキャンダルは語りぐさとなっている。辞任した元東京都知事・猪瀬直樹が寄稿していた雑誌としても知られている。


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【4】「週刊金曜日」
金曜日/93年創刊/580円
マスコミ最大のタブー「電通」や「トヨタ」といった、大手マスコミが扱いにくい企業にメスを入れる、総合週刊誌。過去の編集委員には、椎名誠、筑紫哲也、井上ひさしらが名を連ねる。

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