サイゾーpremium  > 特集  > 企業裏事情  > 【アムウェイ】は違法な企業?

──東幹久のアムウェイCM出演に、楽しんごのモナヴィー販売員疑惑と、“マルチ商法”といわれる企業の存在がにわかに目立ちはじめている。過去の問題は“なかったこと”のように広まるこのビジネスモデル。果たして、本当にクリーンになったのか?

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『なぜアムウェイを選んだのか』(ダイヤモンド社)

 タレント・東幹久の流暢なナレーションで「ビタミンおよび栄養補給食品における売上高世界No・1ブランド」と紹介されるサプリメント「ニュートリライト」のCM。このサプリメントはイタリアのサッカークラブチーム・ACミランの公式サプリメントとして有名な商品だが、日本におけるその販売元は、日本アムウェイ合同会社(アムウェイ社)。1997年には、国民生活センターの理事長より「苦情・相談件数が4年連続で1000件を超えている」と報告されて批判が高まり、衆議院の「消費者問題等に関する特別委員会」でも取り上げられ、“マルチ商法”という言葉を日本に広めるきっかけとなった企業だ。サイゾーの読者世代では、アムウェイの名を記憶している方も多いのではないだろうか。

 改めて説明すると、アムウェイ社は、健康食品や化粧品、キッチン用品といった多種多様な日用品を販売するだけでなく、初年度3500円を支払って会員登録した消費者を販売員(以下、ディストリビューター)として、新たな会員の勧誘や商品の販促を行わせる。そして、そのディストリビューターを通して増えた売り上げの合計額をポイント化してボーナスを与えることで広めていく、連鎖販売取引(またの名をネットワークビジネス)、いわゆる「マルチ商法」の販売形態を主体としていることで名高い外資系企業だ。先述の通り、その成果報酬という制度からか、強引な勧誘活動が行われたり、グループ内の売り上げノルマを達成するために自ら商品を買い込んで借金漬けになるディストリビューターが続出するなど、問題が多発。同社の売り上げがピークに達した96年頃には、国民生活センターに相談が相次ぎ、社会現象化したのだ。

 ここでまず定義しておきたいのは、連鎖販売取引とマルチ商法はまったく同じものであるということ。さらに、弁護士の紀藤正樹氏によると、「マルチ商法は、“原則違法”」なのだという。

「要は“基本的に違法だけど、特定の条件を満たした場合のみ合法に変わる”といった、厳しい規制の中で展開されているビジネスなんですよ。00年に特定商取引法が改正される前は、特定負担、つまり初期費用が2万円以上かかるマルチ商法だけを違法としていたので、“原則合法”といえました。しかし、特定負担が2万円未満の悪質マルチ商法が多発したため、00年の改正で、『特定負担が1円以上のマルチ商法は、特定の条件を満たさない限りは違法』と定められたんです。以降、ビジネスを始めるのに1円でもお金がかかれば“原則違法”で、合法に変えるためには製品名や価格、販売員の氏名、クーリングオフの告知など、必要な要件が定められた契約書を作成することが義務付けられたんです。ちなみに、マルチ商法とねずみ講の違いは、端的に言うと、浄水器など“価値のある商品”を介在しているのがマルチ商法。商品を介在していない、あるいはお札など“価値のない商品”を介在しているのがねずみ講に当たると考えられています。会員のヒエラルキーがピラミッド型になることに変わりはない。それゆえに、あくまで程度問題を基準に区分されるので、明確ではありませんが……。裏を返せば、それくらいマルチ商法とねずみ講の形態は近似的ということ。そのねずみ溝は、完全な違法です」

 つまり、ねずみ講は全面的に違法であるのに対し、マルチ商法は契約書一枚で合法に変わる。そのため、連鎖販売取引業者は、法的な定型に則った契約書の雛形をエントリーパックなど“ビジネス入門セット”のようなものに入れて、これからビジネスを始めようとしているディストリビューターに届けるのが一般的だという。

「雛形に沿った契約書を交わすだけというと、いとも容易い印象を受けますが、それで違法性がゼロになったわけではありません。契約書を規定の通りに用意して合法になった時点で、今度は“勧誘行為の規制”を受けることになります。安易な発言ひとつで犯罪者に転じる危険性もあるんですよ。たとえば、自身で行っているビジネスがマルチ商法であると自認しているにもかかわらず、『これはマルチじゃありません』と虚偽の説明をしたり、『ただのパーティーだから』などと騙して勧誘の場に連れ出すと“不実告知”や“勧誘目的の不告知”に当たり、法的に罰せられる可能性があります。同様に連鎖販売取引業者が『うちはマルチとは違います』と謳うことも、行政処分の対象になります」(紀藤氏)

 つまり、業者も販売員も「マルチ商法ですか?」と問われたら、「YES」と答えることが義務付けられているわけだ。アムウェイ社のホームページを見てみると、Q&Aコンテンツの中で「マルチ商法と何が違うのですか?」という設問に対し、「いわゆる『マルチ商法』は造語のため定義付けされていませんが」の一文から始まって暗に否定しているが、これも限りなく“グレー”に近いのではないだろうか。

ネットワークビジネスに人々はなぜはまるのか?

 ここでひとつ振り返っておきたい。そもそも連鎖販売取引がマルチ商法と呼ばれるようになったのは、発祥の地アメリカで、マルチ・レベル・マーケティング(MLM)と呼ばれていたことに端を発する。しかし、日本では「悪徳」「詐欺」といったイメージが強いため、アムウェイ社は「マルチ」と呼ばれることに非常に敏感で、98年に著書で「マルチまがい商法」と表記したジャーナリストを名誉棄損で訴えている。それが現在はウェブマガジン「アクセスジャーナル」の編集長を務める山岡俊介氏が全面勝訴した、通称“山岡裁判”だ。

「実際の争点は表記というより“書面の交付”でした。00年の特定商取引法改正以前も、連鎖販売取引の形態でビジネスを行う場合、それに見合った書面自体は、消費者に交付しなければならなかったんです。しかし、アムウェイ社は『連鎖販売取引=マルチと思われると、消費者に懸念されるから』という理由で、書面を交付していなかったんですよ」(山岡氏)

 そして、裁判は山岡氏の全面勝訴にて幕を閉じ、この裁判の前後から、アムウェイ社の売り上げも急落していく。96年度には2121億9500万円を記録した公称売上高も、4年後には1197億9700万円とほぼ半減。09年度には978億6500万円と、ついに1000億円を割っている。しかし、ここ数年でまたディストリビューターの数は増えてきているといい、業界全体に視野を広げれば、同じく大手外資系のニュースキンジャパン(約412億円)や「ミキプルーン」でお馴染みの三基商事(約900億円)を押えて、いまだ売上高もトップなのだ。

「アムウェイ社をめぐる事件はいくつか取材しましたが、衝撃的だったのは92年にとある男性ディストリビューターが、販促活動の一環でぜんそく持ちのお年寄りにわさびを食べさせて、死亡させてしまった事件。彼はなんでそんなことをしたのかというと、アムウェイ社の健康食品が病気に万能だと本気で信じ込んでいて、そのお年寄りにも『ぜんそくが治るから』と、その食品を食べさせていたんです。それで、しばらくしてからわさびを食べさせて、むせても大丈夫だと証明しようとした。でも、治ってなんかいなくて……。そんなことがあったというのに、取材時に『もうアムウェイからは離れるんでしょ?』って彼に聞いたら、なんて言ったと思います? 『ご遺族に慰謝料を払わなければならないので離れるわけにいかない。今まで以上にディストリビューターの仕事に励んで、上の階級に出世して稼がないと。私が償える方法はそれしかないですから』って。あそこまでいくと、もはや宗教ですね」(山岡氏)

 また、前出の紀藤氏も「アムウェイは、アムウェイ商品の信者を多数抱える“ファンクラブ商法”の面があり、みんな気に入った商品を買っているというだけで、問題にはなりにくい。しかも、この手のマルチ商法っていうのは、だいたいが“小額被害”なんですよ。国民生活センターに寄せられている平均被害額が80万円くらい。裁判を起こしても、結局割に合わないんです。だったら、全額返してくれると言うし、直接会社にクレームをつければいい、となってしまって、問題が起きても事件化しにくいんですよ」

 さらに、「アムウェイには20代の若者が増えています。30~40代の人たちより、仕事に対する感覚が合っているのでしょう。昔は、ソニーやNTT、トヨタなんかに入ったら『すごい』と言われましたけど、今の学生にはそういう感覚が一切ない。会社に対しても、『いつまで持つか』という不安がある。だったら自分で、という人が増えてきているんです」と、後出のアムウェイのディストリビューターが語るように、過去の問題を知らない世代の間で、“新しいビジネスモデル”として広まりつつある側面もある。果たしてマルチ商法は、“完全にクリーン”なビジネスになり得るのか。特集【2】 【3】では、アムウェイの過去の問題を振り返りつつ、現場のディストリビューターたちの声に耳を傾けながら、考えてみたい。

(文/アボンヌ安田)

クーリングオフ期間20日間は疑え!
マルチ商法は違法?合法?

 いわゆるマルチ商法、「連鎖販売取引」については、「特定商取引に関する法律」、通称「特商法」によって定められている。そもそもの成り立ちは、バブル期以降、新たな商品販売方法として激増した訪問販売など、業者と消費者が直接取引を行うことによって生じやすくなったトラブル(勧誘行為や押し売り)を回避するための、規制及びクーリング・オフ制度を制定しようというものだ。これによって、取引の公正性と消費者被害の防止を図ることが目的だった。そして、「連鎖販売取引」はこの「特商法」第33条で定義される販売形態で、アメリカではマルチ・レベル・マーケティング(MLM)と呼ばれている。「連鎖販売取引」は、【1】物品の販売(または役務の提供等)の事業であって、【2】再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を、【3】特定利益(紹介料や販売マージン、ボーナス等)が得られると誘引し、【4】特定負担(入会金、商品購入費、研修費等の名目で、何らかの金銭的な負担)を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするものである、という4つの条件に当てはまるものに該当する。連鎖販売取引とされる場合、

■ 契約締結前や契約締結時の書面交付の義務付け
■ 広告への一定事項の表示の義務付けや誇大広告の禁止
■ 不適切な勧誘行為(不実告知、威迫困惑行為等)の禁止
■ クーリングオフは20日間(一般の訪問販売は8日間)
■ 中途解約権の付与

という条件を満たした営業をしなければ、すべて違法と見なされる。契約時に商品の詳しい説明が記載された“書面”がない、企業のイメージ広告を打っている、食事の約束をして行ったら商品のセールスをされた、クーリングオフ期間が20日間に満たない、途中で解約ができない……という直接取引は、すべて、違法となる。特に、「不実勧誘の場合、現地に行く交通費も被害額として要求できる」(前出・紀藤弁護士)とのことなので、友人だからといって、告知がされていない場合は、訴えることが可能なのだ。

“マルチ商法”のイメージは大丈夫?
アムウェイに取り込まれるメディアと芸能人たち

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 これまでアムウェイ社の広告・宣伝活動に芸能人が表立って起用されることはなかったのだが、最近はCMでナレーションを務めている東幹久をはじめ、徐々に芸能人を起用したプロモーションが増えてきている。例えば歌手の青山テルマは、今年4月発売の雑誌「ローリングストーン日本版」5月号(セブン&アイ出版)に掲載された、アムウェイ社の炭酸飲料「XSエナジードリンク」のタイアップ記事に登場。アムウェイ社のホームページでも「たくさんのXSと共に微笑むテルマさんの写真が掲載されます」と大々的に宣伝されているものの、誌面に「アムウェイ」という社名はクレジットすらされていない。

 また、東幹久はCMのみならず、アムウェイ社の男性用化粧品「アーティストリー メン」のブランドメッセンジャーを選び出すという趣旨で開催された、“イケメン販売員コンテスト”に審査員として出演。ホームページ上にも「言わずと知れた活躍ぶりの俳優・東幹久さん」という紹介文と共に、写真がばっちり掲載されている。

 実は、同コンテストでは司会もタレントのユージが務めていたのだが、HPにはなぜか米粒ほどの大きさにしか写っていない写真のみの掲載で、ついにはその写真はおろか「司会進行をして頂いたユージさんと香川美紀さんの相性も抜群」という一文まで削除され、今では完全にいなかったことになっている。タレントとしてのイメージを危惧したのだろうが、東幹久の堂々たる姿勢を見習ってもらいたい。

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