サイゾーpremium  > 特集  > 伝説のジャズメンは、みんなドラッグが大好...

──ドラッグを創作の源とした末に廃人になったジャズ・ミュージシャン、敵対グループとの抗争の中で銃殺されたギャングスタ・ラッパー、マトモな演奏ができないアウトサイダー・バンド……。音楽ライター・磯部涼が"ヤバイ音楽本"を再定義し、その正しい読み方を教示!

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躁鬱病に苦しんできた孤高の天才音楽家ダニエル・ジョンストンは、【3】の書籍で取り上げられている。DVD『悪魔とダニエル・ジョンストン』がキングレコード/トルネード・フィルムより発売中。c2005 YIP! JUMP、LLC.

 音楽関連の"ヤバイ"本をいくつか紹介しようと思う。『語源由来辞典』によると、「やばいは、『具合の悪いさま』『不都合』を意味する形容動詞『やば』を形容詞化した語で、もとは盗人や香具師などの隠語であった」。それが、「1980年代頃から若者言葉で(略)『格好悪い』の意味として用いられ、90年代から『凄い』の意味が派生し」たという。

 "ヤバイ"を"凄い"の意味で使いだしたのは、グラフィック・デザイナーのスケート・シングという説が有名だ。そして、彼周辺の音楽家──例えばスチャダラパー等を通じて一般化したのだろうが、やはり、90年代後半に活動を共にした小沢健二が、当時、「オリーブ」誌の連載『DOOWUTCHYALIKE』の第46回「『やばい』について」で、同用法について「本当に凄いものはドラッグと同じで法に触れてしまうような力を持っているため、"ヤバイ"と形容するのがいちばんしっくりくる」というような解説をしていたことからも推測するに、それは、"マリファナ"の隠語から転じて、"最高"を意味するようになったアメリカのスラング"ドープ"の翻訳版なのだろう。

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