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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第7回

希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想

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『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』、著者古市憲寿氏

 少し前になるが、光文社の編集者の方からいきなりメールが届き、「著者の希望で宇野さんにぜひ献本したい本があります」という旨が書いてあった。なんにせよ、タダで本をくれるのだからうれしいなと思い、住所を教えると数日後に郵便受けに収まっていたのがこの本だった。『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』──著者は古市憲寿(ふるいちのりとし)、東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍の研究者で、弱冠25歳の1985年生まれだという。古市君は、なんと「あの」ピースボートに自ら乗り込み、そこに集う人々とそのコミュニティを長期に渡って観察し続けてきた。その至近距離からの描写と、そこから著者が読み込んだ現代社会論(主に世代論と若者論)を展開するのが本書である。

 どうも古市君には学者以前にライターとしての才能とテクニックがあるらしく、主に前者のパートに出現する絶妙な「あるある感」をかもし出す手の込んだ形容の数々には、笑った。

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