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アッシュ・ハドソンのアングラ見聞録【28】

【アッシュ・ハドソンのアングラ見聞録】白塗り店主〈キング〉のゴシック風の変なバー

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――カメラマン・デザイナー、そして親日家としても知られるアッシュ・ハドソン。そんな彼が自らが体験した日本の“アングラ文化”を詳細にレポート。

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Kinguu 宮禁 〒542-0083  大阪市東心斎橋1-19-8  日宝プロムナード心斎橋5F
インスタグラム〈@kin_no_guu〉

 数カ月前、知り合いから大阪の東心斎橋に一風変わったバーがあるから行こうと誘われた。いざ店内に足を踏み入れると、真っ赤な壁に剥製やおどろおどろしい首のオブジェ、空間を覆い尽くすほどのアンティーク調のミラーや額縁の数々……まるで別世界に迷い込んだような感覚だ。店内のステージでは、顔を白く塗ったゴシックっぽい雰囲気の男性シンガーが、ドラマーとともに吸血鬼のテーマのような昔の曲を歌っている。このシンガーが、今回紹介する同店の店主、キングだ。

「バーを経営しながらシンガーとしても活動してます。店ではドラム担当と私が店員として勤務し、ライブのときにはギターやベースを呼ぶこともあります。ちなみに歌っていた曲は1920年代の三文オペラ『メッキー・メッサー』で、アメリカなどではジャズ・ミュージシャンたちにカバーされている曲です」

 小さいバーだからそんなに大人数は入らないけれど、女性のお客さんは、彼と同じような格好をしている。俺はまったくこのカルチャーに詳しくないんだが、アメリカにもゴシックスタイルの人たちは一定数いる。店にはゴシックのセレモニーで使うようなキャンドルなんかもあるけど、キングは何か印象が違う。日本流のゴシックなのだろうか。

「自分の好きなものを集めたら、店がこんな異様な雰囲気になっちゃったんですよ。ヴィクトリア朝を舞台とした演劇をやっていたこともあって、そこからの影響もあります。今は海外のお客様もよく来られて、来店してくれた方々からは、こんなバーは初めてだよ、って言ってもらえますね」

 俺としては顔を白塗りにしている点も含め、彼の性的嗜好も気になるところだ。 

「おかしいって言ったらおかしいけど、言葉で表現するのは難しいですね。そこに愛があれば、なんだってしますよ。耽美主義っていうんですかね。ちなみに顔は6年間、毎日白く塗ってます。お店に来てくれるお客さんも、私の白い顔が好きだと言ってくれますし。これもひとつの“美しさ至上主義”です」

 参加者全員がマスクを着けるマスカレードパーティも、年に2回開催しているそうだ。

「入口でマスクを着けて入店してもらうイベントです。来た人はみんな解放感を味わってもらってますね。自分を意識せず、ありのままでいられるのでね。そのパーティで女性の体にフルーツを盛る女体盛りをやっているんですが、私はフルーツを切って盛りつけています。実は元料理人ですので」

 次回は女体に盛られたフルーツを食べに行かねばならない。

(翻訳/松田敦子)

アッシュ・ハドソン
1972年、ロサンゼルス生まれ。ガンズ&ローゼズのギタリストであるスラッシュを実兄に持つ。幼少期からグラフィティ・アーティストとして活動を始め、自身のブランド〈コナート〉を立ち上げる。親日家として知られており、近年は新たなクロージングライン〈アッシュ・コレクション〉のデザイナーや、カメラマンとしても広く活躍している。インスタグラム〈@ashfoto〉

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