サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 裏ビジネスで利用される情弱たちの末路【1】/【裏稼業】と情弱の摂取構造

――“オレオレ詐欺”をはじめとした特殊詐欺の存在は広く知られているが、詐欺師の電話に騙され、大金を振り込んでしまう高齢者だけがカモではない。詐欺グループの内部でも利用され、搾取されている人間たちがいる。そして、彼らはトンデモない凶行に走る――。裏稼業における情弱の狂った実態を見ていこう。

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2018年末にオレオレ詐欺の被害に遭い、100万円を騙し取られたことを告白した俳優・斎藤洋介。(所属事務所アクトレインクラブのホームページより)

 2019年2月28日、東京都江東区に住む80歳の女性が自宅マンションで「アポ電」を受けた後に殺害され、翌3月13日に神奈川県川崎市の小松園竜飛ほか2名が強盗殺人などの容疑で逮捕された。アポ電とは、詐欺グループの“掛け子”(電話をかける役)が親族や警察官、役所の職員などを装い、ターゲットの家族構成や資産状況を聞き出す電話のこと。このアポ電をかけた上で振り込め詐欺などを仕掛ける「アポ電詐欺」が近年急増しており、警視庁は事件の容疑者らももともと詐欺グループのメンバーで、犯行の手口を詐欺から強盗へと切り替えたとみている。

 この事件の被害者のように、振り込め詐欺に代表される特殊詐欺で狙われるのは主に高齢者である。彼らは、特にネット上では「今どき振り込め詐欺に引っかかるとか情弱かよ」などと揶揄されることも珍しくない。しかし、そこでカモにされているのは被害者だけだろうか――。本稿では、特殊詐欺をはじめとする裏稼業における情弱の実態を明らかにしたい。

 まず、「オレオレ詐欺」という言葉が誕生したのは03年といわれるが、なぜいまだに特殊詐欺の被害が後を絶たないのか? 『だまされた! 「だましのプロ」の心理戦術を見抜く本』(方丈社)などの著書を持つジャーナリストの多田文明氏は、こう解説する。

「結局、手口がどんどん多様化、進化しているんですよ。それに被害者=高齢者はついていけていない。しかも、特殊詐欺の注意喚起は主にネット上で行われ、高齢者の目には入りづらい状況がある。よって、多くの高齢者は特殊詐欺=オレオレ詐欺だと。息子をかたる人物から電話がかかってくるとしか思っていない。しかし、甥や孫になりすますこともある。江東区のアポ電強盗殺人事件があり、最近は高齢者の情報源たるテレビでもアポ電の危険は周知されつつありますが、今度は詐欺グループはそれを逆手に取る。警察官を装って『今、アポ電強盗が増えているので、警察官立寄所のシールを貼ることが決まりました。お一人暮らしですか?』といったアポ電をかけるわけです」

 また、一般的に詐欺=現金を騙し取られることだという認識が強いため、一時期はコンビニで売っているアマゾンや楽天のギフトカードを買わせる詐欺も流行したそうだ。

「これは若い人でも引っかかることがあるのですが、ショートメールなどで『未納料金があるから、すぐ電話してください』という架空請求のメッセージが送られてきます。電話をかけると、アマゾンやヤフーの関係者を名乗る人物が『有料サイトを閲覧した』とか『ネットで課金した』といった理由で、ターゲットに対してコンビニで数万円分のギフトカードを何枚も買わせ、カード裏のギフト券番号を携帯電話のカメラで撮って送るように仕向ける。被害者はコンビニでギフトカードを買っただけだから、それが詐欺だと気づけないんです」(多田氏)

 しかし反対に、情報を積極的に収集しているがゆえに、だまされてしまうケースもある。

「若い人は何かわからないことがあればググる癖がついています。だから、例えば怪しい業者から電話やメールで投資話などを持ちかけられたら、その業者名を『悪徳』や『詐欺』といったワードと一緒に検索するわけです。それを悪徳業者は知っているから、すごく良い業者だという情報しか検索上位にこないように対策します。結果、悪い評判が特に見当たらないから、ターゲットはその業者を信じてしまう」(同)

 一般企業と同様に、悪徳業者もSEO対策をやっている。そこまで読まなければ、場合によっては情強ぶっている人が情弱になってしまう危険もあるというわけである。

振り込め詐欺講習会で手口のアイデアをパクる

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