サイゾーpremium  > インタビュー  > 【GOBLIN LAND】"ネオ・チンピラ"な兄弟ラッパー
インタビュー
相反するテーマを表現する“ネオ・チンピラ”な兄弟ユニット

【GOBLIN LAND】「一番心に残ったヤンキー・マンガは『カメレオン』」“ネオ・チンピラ”な兄弟ラッパー

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――往年のヤンキー・マンガのようなルックスの兄弟が、トレンドのビートに乗ってラップする――。そんな若手ユニット、GOBLIN LANDが提唱する“ネオ・チンピラ”とは?

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(写真/山谷佑介)

 兄のYUZin(以下、Y)、弟のVarong(以下、V)で結成された大阪府出身のラップ・ユニット、GOBLIN LAND。2018年12月に発表した1stアルバム『NEO CHINPIRA』は、多種多様な新人が多く登場した昨年の日本語ラップ・シーンの中でも、もっとも注目に値する作品のひとつだった。その音楽的な新鮮さも強調しておきたいが、彼らの人気に火を付けた最大の要因は“ネオ・チンピラ”という秀逸なコンセプトにある。オールドスクールなヤンキー風の髪形やファッションで身を飾るが、「派手な身なりこんなFashion/お前らパンピーが真似てもダサいだけやって」(「O.O.O」)と歌うように、この兄弟だからこそ現代でもできるスタイリングなのだろう。それは、「昔は俺単車のケツに女乗せない/硬派BOY 日本」(「NEO CHINPIRA」)といった昭和のヤンキー的メンタルを表現したリリックを、エモ・ラップやトラップ・メタルなどトレンドを自在に咀嚼したビートとサウンドに乗せる、ごちゃ混ぜの面白さとも通じる。

Y「でも実は中学生のとき、ヤンキーより先にB-BOYのスタイルが好きになったんです。ソウルジャ・ボーイみたいに、坊主にニューエラのキャップを被り、スピーカー付きリュックでヒップホップを流しながら登校してました」

 その中で徐々に日本の不良文化のカッコよさにも気づき始め、B-BOYとヤンキー的なファッションの両方を好むようになった。

Y「ヤンキー・マンガが好きでいろいろ読みました。世代的には『クローズ』や『ドロップ』がはやってたけど、一番心に残ってるんは『カメレオン』ですね」

V「音楽では、親父の車で流れてた長渕剛と浜田省吾が今でも好きです。純粋にカッコいい」

 こうした文化受容のあり方が、ネオ・チンピラ的価値観を育んだに違いない。そしてそれは、「古いものもそう 俺らで輝く/過ぎ去りしもの交わり蘇る」(「NEO CHINPIRA」)と歌うように、ヒップホップ的なサンプリングの美学とも共鳴する。

 ただ、中高時代はラップをしていなかった。

Y「当時の日本語ラップはいなたい感じがして、シーンも成立してないなと。ラップするのはなんか違うと思ってました」

 だからラップを始めたのは案外遅く、YUZinが「現場仕事とかして、プラプラしとった」20歳、Varongが高校を卒業したての18歳のときだった。

Y「『It G Ma』(編註:韓国のラッパー、キース・エイプが2015年に発表したMV。日本のKOHHらもフィーチャリング)が世界的にバズったのがきっかけですね。『アジアのヒップホップ、イイ感じになってるやん! なら、自分らもイケるやろ』と。俺らも大阪を拠点に日本で活動しつつ、アジア、世界に向けても発信できるようになりたい」

 では改めて、2人が考えるネオ・チンピラとは?

Y「サグ(編註:ギャングのような悪党)ではないけど、ワケわからんとトガってる奴らかな? 不良感もあるけど、あくまでもオシャレでイケてる奴のことです」

V「ネオ・チンピラをはき違えてる人、多いよな。夜露死苦みたいなゴリゴリの奴じゃない」

Y「ダサカッコいいと言われたりもするけど、自分では『いや、普通にカッコよくない?』と思ってる。キャラだから無理してるわけでもなく、普段からこんな格好やし。それに、ラッパーだからってヘンに強がらず、寂しいと思えば『寂しい』と歌詞にする。俺らに合ったスタイルです」

 確かにアルバムを聴くと、ローカルとグローバル、古いと新しい、きれいと汚いといった相反するテーマが、ネオ・チンピラの一語に向かって収斂しつつ、混淆したまま同居している。その捉えがたい複雑さこそ、GOBLIN LANDのラップが、自己の、また彼らが見る社会の“リアル”をフレッシュに表現していることの証しとなっているはずだ。

(文/韻踏み夫)
(写真/山谷佑介)

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GOBLIN LAND(ごぶりん・らんど)
大阪府出身。1995年生まれのYUZin(画像1枚目右)と、1996年生まれのVarong(左)による実の兄弟ヒップホップ・ユニット。2人とも身体にタトゥーが刻まれているが、兄は洋彫り、弟は和彫り。2016年からラッパーを志し、専属のビートメイカーB.D.Oと共にこれまでEPを2作品、ミックステープを1作品リリース。ライブ活動も大阪のミナミを拠点に展開してきた。そして18年12月、1stアルバム『NEO CHINPIRA』を発表。エモ・ラップやトラップ・メタルといったトレンドのビートと、オールドスクールなヤンキーマンガを彷彿させるルックスやリリックが混淆したようなスタイルが、ヘッズの人気を集めている。ヤンキーでもツッパリでもサグでもない、そんな“ネオ・チンピラ”な2人が世界からも注目される日は近いかもしれない。

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