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『クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第62回

【クロサカタツヤ×三部裕幸】AIはホントに脅威? 世界中で議論が巻き起こっている『AIと倫理』の問題

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●AIの導入状況と予定【国別】
※「プロセス」は企業内部の過程の改善のためのAI導入、「プロダクト」は企業が生産する財・サービスそのものの改善のためのAI導入を指す。
※「わからない」という回答を除いて集計。
出典:総務省「ICTによるイノベーションと新たなエコノミー形成に関する調査研究」(アンケート集計表)

――AIが人間の仕事を奪うとか、人間性を破壊するなんてSFみたいな話は、まだまだ先のことだと思っていたら、日本やEUだけでなく企業まで具体的に考え始めていた。グーグルやソニー、NECなどが取組を公表したり、欧州で倫理ガイドラインの案が公表されたり、すでに問題が目の前に来ている様子。一体全体、AIと倫理でなんでこんなに議論が沸くのか、弁護士の三部先生に聞いてみた。

クロサカ 今回はかなり難しいテーマです。現在、日本を含む世界中の国や企業が、「AIと倫理」について議論を始めています。この問題は、想像以上に影響範囲が広くて複雑です。そこで、AIと倫理の問題の第一人者である弁護士の三部裕幸先生に、なぜAIにおいて倫理が課題になっているのか解説していただきます。

三部 私は企業間の取引をサポートするのが主な仕事です。そうした弁護士が、AIと倫理に取り組んでいるというと、たいていの方が驚かれます。これは、2016年に総務省が始めた「AIネットワーク社会推進会議」の分科会の委員になって、欧州のAIに関する法律やルールについて調べたことがきっかけです。

クロサカ 今から考えても、AIに関する諸問題について、かなり先取りしていましたね。

三部 当時、イギリス、ドイツ、ルクセンブル クの研究機関や大学などに訪問してヒアリングしました。訪問前は技術視点での話や、法律に関しても科学技術にフォーカスしたテーマが問題になると思っていました。ところが、訪問先では、口を揃えて「倫理問題に取り組まなければ日本は危ない」とおっしゃった。大事な価値観を考慮していない国や企業の製品・サービスは、欧州では受け入れられないという、問題意識からのアドバイスだったんです。

クロサカ これまでにも、外国企業が途上国の労働者や生産者の倫理に配慮することはありました。そうしたことと、AIの倫理問題は地続きなんでしょうか?

三部 続いている部分はありますけど、それだけに限りません。ひとつは、AIの影響度が極端に大きくなっていくであろうことと関連します。例えば、AIがより高度になり普及した結果、人間がAIに依存しすぎることで、人間らしさが失われる懸念があると言われています。また、個々人の権利というだけでなく、選挙の公正がAIによって損なわれないか、などといった議論もあります。欧州で議論した専門家は、「人間の価値を損ねると思われる企業活動は、違法、場合によっては憲法違反と判断される可能性がある」と警告していました。

クロサカ その当時の日本企業側は、まったく危機感を持っていませんでした。ただ、AIで悪事をはかろうとしているのではなく、そもそも倫理について考える習慣がないんですね。

三部 欧州に関しては、過去の戦争や市民革命などの歴史的経緯があると思います。当然、市民にも権利を勝ち取ってきたという意識が大きいんだと思います。もちろん、日本にもそうした意識がないわけではありません。

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