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『クロサカタツヤのネオ・ビジネス・マイニング』第63回

【クロサカタツヤ×高須正和】世界を駆け巡るメイカーの伝道師が語る日本人が目指すべき道

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●就労者におけるデジタルファブリケーションの認知度(日米)
出典:総務省「情報通信白書」(平成28年版より)

――日本にはイノベーションが足りない、ジョブズが出てこない、なんて日本を卑下するご意見をよく目にします。でも、よくよく考えてみると日本にはおもしろいものがたくさんあるし、日本発で世界に広まったものってたくさんある。そんな日本人のクリエイティビティが爆発しているのを実感できるのが、メイカーと呼ばれている人たちが集まるメイカーフェア。そして、世界数百カ所で開かれているメイカーフェアに、最もたくさん参加している日本人が、高須正和さん。高須さんに日本人のクリエイティビティが世界からどう見られているのか聞いてみた。

クロサカ 18年10月に『ハードウェアハッカー』(技術評論社)というスゴい本が出ました。ハードウェア、DIY、メイカームーブメント、バイオ、深圳といったキーワードが引っかかる人はぜひ手に取ってみてください。今回は、同書を翻訳した、高須正和さんをお招きしました。

高須 著者のアンドリュー・“バニー”・ファン【1】は、独自のハードウェアを開発するハッカーとして有名ですが、日本ではあまり知られていません。この本も最初はとにかく僕が読みたいから出版のあてもなく、翻訳していたんです。

クロサカ 実は僕も本を読んでから、いろいろ記憶がつながりました。高須さん、ほとんど日本にはいなくて、世界中のメイカーフェアを訪れて回るという、生活を送っていますよね。

高須 生活拠点は中国の深センで、年の6割以上はいろんな国のメイカーフェアに行っています。日本にはほとんどいません。僕はアジアで行われているメイカーフェアに、世界で一番多く参加しているはずです。

クロサカ ただ正直、日本では大流行というほどではないですよね。メイカーフェアは、世界でどのくらい盛り上がっているんですか。

高須 DIYは、どの国の景気が一番良いかは別にして、世界全体で盛り上がっています。アメリカにはスタートアップのカルチャーがあり、イギリスではマイクロビット【2】が出てきて、中国は政府がファブラボ【3】に補助金を注ぎ込んだ。日本も、秋葉原に行くと電子部品のお店が何十年も前から続いている。世界で一番規模が大きいサンフランシスコの10分の1程度ですが、東京のフェアも来場者数が2万4000人と、毎年少しずつ増えてきています。

クロサカ アメリカはオバマ大統領時代に、全米の中学校にファブラボを設置したりホワイトハウスでメイカーフェアを開いたりしていましたよね。中国も「大衆創業、万衆創新」戦略でシリコンバレーに追いつけ追い越せと多額の投資をした。日本ではそういう政策がなかったことが、良くも悪くも影響しているんでしょうか。

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