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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第128回

『Leave No Trace』――公園で4年間暮らしたベトナム帰還兵父娘の癒えない傷と旅立ち

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『Leave No Trace』

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2004年、オレゴン州ポートランドで、2人の父娘が発見された。場所は温帯雨林が多く残る森林公園。父親のウィルは10代の頃、ベトナム戦争に従軍し、PTSDを発症したことで一般社会になじめず、娘を連れ4年間も公園内に住んでいたのだ。やがて“保護”された父娘は一般社会に適応しようと試みるが……。
監督/デブラ・グラニック、主演/ベン・フォスター、トマシン・マッケンジーほか。日本公開未定。

 Leave No Trace(足跡を残すな)とは、ゴミを捨てたり、原生林を伐採したり、自然環境に傷跡を残すような生活を自粛しようという、エコロジストたちのモットーだ。

 だが、この『リーヴ・ノー・トレイス』という映画の主人公たちは、文字通り足跡を残さないように森の中を歩く。誰かに見つからないように。

 舞台は「アメリカで最も住みたい街」に選ばれ続けているオレゴン州ポートランド。地産地消のオーガニック・レストラン、起業家やLGBTに優しい自由な市政、消費税ゼロ、などの理由で毎日100人ずつ人口が増え続けるブームタウンになっている。

 雨が多いため、周辺には世界的にも珍しい温帯雨林が残っており、住宅地の真ん中にあるフォレスト・パークにちょっと入れば、樹齢数百年の杉や松がそびえ、シダが生い茂る、太古の地球のような風景が楽しめる。

 2004年、そのフォレスト・パークを訪れたオーストラリアの観光客が、公園の中に隠れ住む父娘ウィルとトム(モチーフとなった実際の親子はフランクとルース)を発見した。『リーヴ・ノー・トレイス』は、彼らの物語だ。

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