サイゾーpremium  > 連載  > 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」  > 町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第129回/『ソーリー・トゥ・バザー・ユー』労働SFが描く暗黒郷
連載
町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第129回

『ソーリー・トゥ・バザー・ユー』――高給が欲しけりゃ白人口調で営業を!労働SFが描く暗黒郷

+お気に入りに追加

『ソーリー・トゥ・バザー・ユー』

1809_P133_img001_200.jpg

黒人の電話営業マン、カシアス・グリーンは、ガールフレンドのデトロイトと同棲中。営業成績はイマイチだが、「白人の口調で電話をかけろ」という同僚の声に従ったところ、営業マンの才能に目覚めることに。だが、彼の会社は典型的なブラック企業。あまりの労働条件の悪さに社員は労働組合を立ち上げ、企業を糾弾するが、カシアスはお構いなしに従順に働き続ける。そんな姿を見たデトロイトは彼の元を離れ、やがてウォーリーフリー社がカシアスを引き抜こうとするが、同社には恐るべき陰謀が……。
監督・脚本:ブーツ・ライリー、出演:ラキース・スタンフィールド、テッサ・トンプソンほか。日本公開未定。

 去年、アメリカで大ヒットし、アカデミー賞でオリジナル脚本賞を受賞した『ゲット・アウト』は、白人ばかりの郊外住宅地を訪れた黒人青年を主人公にしたホラー映画だった。

 彼はパーティで同じ年頃の黒人青年と会うが、彼は黒人独特の言い回しや仕草を理解しない。その脳は白人の老人の脳と入れ替えられていたからだ。

 脳移植された青年を演じたラキース・スタンフィールドが、再び白人の言葉をしゃべる映画『ソーリー・トゥ・バザー・ユー(お忙しいところすみません)』が、製作費320万ドルの低予算ながら、5倍近い1500万ドルを稼ぎ出してヒットしている。

「お忙しいところすみません」とは、電話セールスの切り出し文句。スタンフィールド扮する主人公・カシアスはテレマーケターだが、電話の向こうのクライアントは、カシアスの声を聴いただけで電話を切ってしまう。

「白人の声を使え」。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2026年11月号

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界

ドーパミン時代の沼化するエンタメ業界
    • 「沼化」するエンタメ業界
    • 膨らみ続けるグラビア市場
    • SNSがつくる「あなたの好み」
    • 映画界ハラスメントの実態
    • ゲーム実況者の高齢化問題
    • PS、ディスク販売廃止の衝撃
    • 私たちは「ドパガキ」なのか
    • AI時代の「生歌」の価値
    • 「ニコ生ホラー」とは何だったのか
    • テクノロジーが広げる学びの未来
    • AI時代のサイバー攻撃
    • リングを彩る美女たち
    • 〈Cosplay beauty〉もちむぎ

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 滝藤賢一、名バイプレイヤーの境地
    • 唯一無二の音楽家・水槽
    • 小八重葵美が得たもの

連載

    • [マルサの女]高橋凛
    • 神保哲生×宮台真司の「TALK ON DEMAND」
    • 萱野稔人と巡る「超・人間学」
    • ドクター苫米地に聞け!
    • 井川意高の天上夜想曲
    • 韮原祐介の匠たちの育成哲学
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • GROOVE SEQUENCE
    • 笹 公人×江森康之の「念力事報」
    • 町山智浩の「映画でわかるアメリカがわかる」
    • 花くまゆうさく『カストリ漫報』
サイゾーパブリシティ