サイゾーpremium  > 特集2  > 自撮り【10代女子】の傾向と対策

――ブログやTwitterを駆使してタレントたちが“自己プロデュース”に余念がないのは知られた事実だが、そうした”ネット戦線”に若年一般女性が参入して久しい。いや、むしろ最近は、10代の一般女性こそがそうした状況を牽引しているといっても過言ではないだろう。ニコ生でひとり語りを繰り広げるメンヘラ女ならいざ知らず、一見“リア充”に見える10代女性が、VineやMixChannelなどを駆使し、ネットに自己をさらし続けるのはなぜなのか? Vine動画からブレイクした現役GカップグラドルRaMuをイメージガールに、その背景を探る!

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(写真/三浦太輔・go relax E more)

 TwitterやFacebookにYouTubeやニコニコ動画。こうしたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や動画共有・配信サービスを積極的に横断利用し、自らの姿を動画に収め配信している者がいることは、いまやよく知られた事実だ。しかもその中には、10代の若年女性さえ少なくないことも。

 そうした動画の中には、女子高生同士が教室で立ちバックの真似事をしていたりギャルが自らおっぱいポロリをしていたり……と、“ちょいエロ”なものも珍しくなく、ネット知識に乏しいおっさん向けに、そうした動画をまとめたサイトなども多数存在する。

 しかしここで、素朴な問いに立ち返ってみたい。彼女たちはなぜ、自らの姿を、時にはなまめかしい姿も含め、不特定多数のユーザーが跋扈するネットの世界にさらすのだろうか? グラビアアイドルやAV女優がそういった動画を広めようとするのであれば、それは自身のプロモーションの一環なのであり、大いに理解できる。しかし、芸能界とは無関係の少女たちまでもが、おのれの顔や肢体をネットにさらすのはなぜなのか? そのひとつのわかりやすい回答は、「承認欲求」であろう。「目立ちたい」「私を見てほしい」「認められたい」。古今東西、そうした欲望が特に若者の内側に渦巻き、時に世を動かす原動力になってきたことは、誰もが認めるところだ。では、彼女たちもそうなのだろうか?

 そこで本特集では、10代の若年女性たちが身をさらす、そのワケを探っていく。特に本稿では、彼女たちが活用している代表的なネットサービスに焦点を当て、それを利用している若年女性たちの内面を追ってみたい。

 さて、そもそもネットに若年女性が自らをさらすという行為は、何もいまに始まっことではない。1990年代には「個人ホームページ」を拠点として活動するコガリエ、南条あやといったネットアイドルがいたし、00年代に入ってブログが一般化すると、眞鍋かをりや中川翔子といった“ブログの女王”たちが登場した。

 その後はmixi、Facebook、TwitterといったSNSが一般に浸透。現在に至るまで若年層を中心に圧倒的なユーザー数を誇るTwitterでは、水着姿や下着姿でのセクシー画像をアップするハッシュタグ「#グラドル自画撮り部」が記憶に新しい。メディアにも大々的に取り上げられ、部長を務める倉持由香などはブレイクを果たした。

 そうした状況を経て、若年層にいま親しまれている”自撮り拡散サービスといえば、以下の4つ。すなわち、秒数固定の動画サービス「Vine」「Mix Channel」、そして生配信が可能な「ニコニコ生放送」「ツイキャス」だ。

 まず、“ニコ生”ことニコニコ生放送は、ご存じ「ニコニコ動画」から派生した配信サービス。ユーザーが動画をリアルタイムに配信したり、他ユーザーの番組を優先的に見られる月額540円の「プレミアム会員」登録数は254万人を超えている。また、配信は行えないが閲覧などはできる無料の「一般会員」は、会員数5300万人以上を誇る。

 このニコ生の特徴は、後述するツイキャスと比べると、より高画質・高音質での配信が可能なこと。見目麗しい美少女やナイスバディなお姉さんを観賞するには、まさにうってつけのサービスといえるだろう。また、配信者(ニコ生においては“生主”と称される)の住む部屋の様子など配信環境のディテールまで確認できるのも、視聴者にとっては面白さのひとつとなっている。現在はAV女優となった片桐えりりかは、かつて全裸でダンスを踊ったり、自宅に呼んだピザ店配達員を誘惑するさまをパソコンの固定カメラからこのニコ生を利用して配信し、ネット上の話題をさらっていた。

 とはいえ、「いまのニコ生にはオワコン感が漂っている」とは、ニコ生に詳しいカメラマンの言だ。

「SNSのアカウントがあればスマホひとつで気軽に無料配信できるツイキャスに比べ、ニコ生はどうしても配信するまでのハードルが高い。よってここ最近の若年層は、“マニアックな大人のオタクがやるもの”という印象があるニコ生ではなくツイキャスを主に利用している印象です。それに最近は、かわいい顔出しの“生主”が出現しようものなら、すぐに常連視聴者が彼女らの顔を隠させて“囲う”んですよ。だから最近は、ニコ生発の素人女性有名人は生まれにくくなっています」

 悪くいえば閉鎖的、よくいえばネットリテラシーに長けた比較的年齢層の高い固定ファンによって、“安定期”に入ったともいえそうなニコ生。現在ここに出没しているのは、彼らからチヤホヤされた、そういう意味ではまさに承認欲求だけが目的の“メンヘラ少女”が多いといえるのかもしれない。

 それではツイキャスはといえば、現在のユーザー数は1000万人超。前述のように手軽に配信できるため、「有名になりたい」「ちやほやされたい」といった明確な承認欲求などなくとも、Twitterのフォロワー数人に向けて暇つぶしで配信を行うユーザーも多い。また、若年女性がすっぴん状態からメイク完成までを実況する「メイクキャス」も人気で、同世代の同性から支持を得ている。しかし、あまりにも手軽に配信できるため、逆に素人からの有名人は生まれにくい状況にもあるようだ。

「ツイキャス公式サイトには人気キャス主のランキングが掲載されているのですが、セカイノオワリのフカセやきゃりーぱみゅぱみゅなどの芸能人や、YouTuberのヒカキンやはじめしゃちょうなど、すでに知名度のあるユーザーが上位の常連。『ツイキャスの女王』とも呼ばれた現在18歳のシンガーソングライター井上苑子などはまさにこのサービスを使って知名度を上げたひとりですが、彼女は中学生時から単独ライブを行うなどすでに“セミプロ”でした」。(同)

 若者にとってもはやツイキャスは「誰でもやっているもの」であり、そこで配信を行うことが承認欲求を満たす行為かといえば、それは大人目線の少々ズレた回答なのかもしれない。

 では、数秒動画サービスはどうなのか? その雄、Vineの月間アクティブユーザー数は、多くが米国ユーザーによるものとはいえ2億人以上と発表されている。米国でも日本でも、人気なのはショートコントや“あるあるネタ”、変顔などの「おもしろ」と呼ばれるジャンル。Vineで知名度を上げた有名女子高生ユーザーのひとりである大関れいかも、「ディズニーランドに一緒に行った相手が彼氏か女友達か」の違いを表情と台詞で表現するなどのあるあるネタ動画で人気に火がついた。高校卒業後、現在はテレビのバラエティ番組への出演等、芸能活動も行っている。

 そして冒頭で述べたような“ちょいエロ”の数秒動画も、「この『おもしろ』の延長線上でアップされているにすぎない」と語るのは、自身もVineを使いこなす某アイドルだ。

「Tバックのお尻を出したりチョコバーで疑似フェラしたりといった動画って、ほとんどがウケ狙いなんですよ。リア充のオフザケですよね。もちろん、その動画で有名になりたいなんて思ってないでしょう。身内を笑わせられればそれでいい、という。そして、そういったリア充ノリは、MixChannelのほうがより顕著だと思います」

 そのMixChannelだが、13年12月に同サービスがリリースされて以降、スマホ用アプリの総ダウンロード数は400万、月間動画再生回数は約5億5000万回。ユーザーの90%近くが10代で、80%以上が女性、「女子中高生の2人に1人が使っている」ともいわれているほど多くの少女たちの間で広まっている。前出の“リア充感”が最もよく表れているのは、カップル同士のイチャイチャを見せつける「LOVE」のカテゴリの動画であろう。

「キスやハグの画像だけでなく、動画、テロップなどを組み合わせて細かい編集を施し、西野カナなどのヒットソングに乗せて“リア充全開感”のある映像が日々アップされています。ただしこれって、90年代でいえばプリクラ、00年代でいえば『前略プロフ』などの携帯サイトと同種のものだと思うんですよね。動画をアップするユーザーは、それが全世界に公開されて一生残るなんて認識はあまりなくて、単に今の気持ちを仲間内で共有したい、というくらいの軽いノリ」(前出のアイドル)

 MixChannelは他のSNSを介さずともアプリ内で動画にコメントを書き込むことができたりと、コミュニケーションツールとして内部で完結している。そもそも日本発サービスであるからこそ、このように独自の進化を遂げつつあるといえるのかもしれない。

 さてここまで、代表的な“自撮り拡散サービス”について解説してきた。一見おじさん世代には意味不明でも、そこに“旧世代”とは異質な自意識のが存在するというよりは、以前にもあったような自意識のありようが、新しいサービスの出現と呼応して新しい形で発露しているにすぎない、ということがおわかりいただけたかと思う。

 明日公開の記事では、こうした“新世代代表のグラドルに対し、本誌ではお馴染みの辛酸なめ子氏を“旧世代”代表として迎えた対談を掲載する。“自分発信”の得意な新旧2世代の対話から見えてくるものを探っていきたい。

(文/岡島紳士)
(スタイリング/Hitomi)
(ヘア・メイク/ISINO)

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