サイゾーpremium  > 特集  > 宗教  > 【イスラム最大の医師】が登場する映画
1603movie2s.jpg

 本文でも紹介した映画『千年医師物語 ペルシアの彼方へ』は、11世紀のイングランドとペルシアを舞台にした医学冒険物語とでもいうべき映画。その時代、イングランドでは理髪師が医療を担っており、口八丁の医療で渡り歩く理髪師のもとで旅を続ける青年が主人公。その旅の過程で、ユダヤ人たちから、世界で一番進んだ医療が学べる学校がペルシアにあると教わり、医学を究めたい一心で過酷な旅へと旅立っていく。

 そのペルシアの世界一の医師というのが、イブン・シーナ。世界史に詳しい向きなら聞き覚えがあるかもしれないこの人物は、11世紀に実在した医学者で、その学問は神学・数学・天文学・医学・哲学にわたり、著書『医学典範』は12世紀から17世紀にかけて西欧でも医学の基本書として用いられ、「アヴィケンナ」のラテン名でも知られている。当時ヨーロッパでは忘れ去られていたアリストテレス哲学を土台とした彼の学問は、世界の最先端だったのである。

 映画ではそのイブン・シーナを『ガンジー』などの映画で知られる名優、ベン・キングズレーが貫禄たっぷりに熱演。ストーリーはペルシアにたどり着いてからも医学への挑戦や友情・恋・戦乱などの盛りだくさんで、都内では1館しか公開していないのがもったいないくらいなのだが、どうやらかつてのペルシアであるイランにとっては、異議を唱えたくなる内容らしい。

 それが描かれているのが、日本語のサイト「Iran Japanese Radio」の「事実に反した映画『千年医師物語』」という記事。それによると、映画に描かれたイブン・シーナの生涯はさまざまな点で事実と異なっているとして、イラン人の大学教授のコメントを紹介している。いわく「イラン排斥やイスラム排斥の風潮が存在する時代において、西洋諸国はイランを危険な国として見せようとしている。彼らはまた、イスラム化する前のイラン、そしてイスラム受容後のイランのイメージを、それぞれ別の方法で破壊しようとしているのである」と。

 この映画は、それなりにイスラムに敬意を払っているように部外者からは思えるのだが。やはりイスラムと欧米の相互理解の道は、まだまだ程遠いのかもしれない。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2022年6・7月号

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論
    • 音楽業界からの【賛辞と批判】
    • 【芸能プロ】的戦略が抱える2つの“矛盾”
    • 令和の【ジャニーズ・シングル】20選
    • 20年代のジャニーズ【ミュージックビデオ】

移ろいゆくウクライナ避難者

移ろいゆくウクライナ避難者
    • 移ろいゆく【ウクライナ】避難者

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

サイゾーパブリシティ