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哲学者・萱野稔人の"超"哲学入門 第13回

人類の歴史とは人類が自由を獲得していく過程である

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(写真/永峰拓也)

『歴史哲学講義』

ヘーゲル(長谷川宏訳)/岩波文庫/上900円+税、下940円+税
人類の歴史の歩みにはどのような原理があるのか。後世にも多大な影響を与えたドイツの思想家ヘーゲルが、世界精神の理性的な歩みとして世界史を考察。ベルリン大学で行われた講義の草稿をもとにヘーゲルの死後に出版された。

『歴史哲学講義』より引用
世界史は東から西へとむかいます。ヨーロッパは文句なく世界史の終わりであり、アジアははじまりなのですから。(略)
世界史は野放図な自然のままの意志を訓練して、普遍的で主体的な自由へといたらしめる過程です。
東洋は佳子から現在にいたるまで、ひとりが自由であることを認識するにすぎず、ギリシアとローマの世界は特定の人々が自由だと認識し、ゲルマン世界は万人が自由であることを認識します。

 人類の歴史はどこまでさかのぼることができるでしょうか。たとえば人類が農耕を始め、それにともない定住生活に入っていったのはだいたい1万年前のことです。それから現代までのあいだ、人類は文明を発達させ、歴史をつむいできました。その歴史の過程で獲得してきたさまざまな技術や社会制度によって、現代の人類は農耕を始めた時代にはまったく考えられなかったほど豊かで文化的な生活を享受しています。

 そうした人類の歴史を全体として眺めたとき、そこにはどのような原理がみいだされるでしょうか。言い換えるなら、人類の歴史はどのような原理のもとで発展してきたのでしょうか。19世紀初頭にドイツで活躍した哲学者、ヘーゲルは『歴史哲学講義』のなかでそれを明らかにしようとしました。

 ヘーゲルは人類の歴史を、人類が自由を獲得していく過程であると考えました。人類がより大きな自由を求めることこそが歴史の原動力であり、より多くの人びとがより広い自由を獲得していくことが歴史の発展だと考えたのです。たとえば私たちは江戸時代に舞い戻りたいとはあまり思いませんよね。たとえ江戸時代が好きな人でもそうでしょう。現代の豊かさを失いたくないだけでなく、その豊かさにともなう自由も失いたくないからです。

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