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町田 康の「続・関東戎夷焼煮袋」第26回

【イカ焼】――たどりついた店、そこがイカ焼のルーツだった!?

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――上京して数十年、すっかり大坂人としての魂から乖離してしまった町田康が、大坂のソウルフードと向き合い、魂の回復を図る!

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photo Machida Ko

 突然、足が勝手に歩き出して抑制が効かなくなり、このままでは足を切り捨てるしかないのか、と覚悟しつつ、しかし足に抗えず歩いてふと目の前にイカ焼屋があったというのはどういうことであろうか。

 もちろん人間の業ではないだろう。ということは。間違いなく弥勒菩薩様とか観音菩薩様といった方が足になってくださって、私をイカ焼屋に導いてくださったということで、こんなありがたいことはない。そうとも知らずに私はこれを切り捨てようとしていた。これを切り捨てていたら私は歩けなくなり、いつまで経ってもイカ焼屋にたどり着けなかったかも知れない。

 けれどもたどり着けたのは幸運だった。いままでいろんなことで苦労してきて不運と不幸の連鎖のなかで生きていたが、これからは素晴らしい人生が私を待ち受けているのかも知れないと思うことの喜びを信じていたいのかもしれない。

 そう思って私は土産物コーナーの最奥部のイカ焼屋をとっくりと眺めた。

 まず目についたのは横倒しになった巨大なイカのオブジェである。このオブジェがあることによって、この店がイカ焼の店であることが遠くからでもわかる。

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