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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第51回

ほんとうに「社会を変える」には

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──既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら!ジェノサイズの後にひらける、新世界がここにある!

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『大きな字だからスグ分かる!ツイッター入門 基本のキホン編』

 この原稿を書いている7月初旬、安倍政権が憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する動きを見せている。僕個人は、こうした動きはあまりにも性急であり、手続き上も当然許されることではないと思う。しかしこれを批判するリベラル勢力の言説は、大きく空回りしていると言わざるを得ない。「強引な手続きを踏んででも対応しなければいけない現実(アジア情勢)がそこにある」という主張に対し、「強引な手続きは良くない」という反論は既に織り込まれてしまっていて、ほとんど効果はない。もちろん教条的左翼が行っている、まるで安倍政権が今すぐにでも侵略戦争を始めようとしてると言わんばかりの印象操作は完全に逆効果だ。いま必要なのは、安倍政権の軍事・外交戦略ではむしろ国家の安全を脅かす愚作だと批判することだ。そしてそのためにはいわゆる「お花畑」とは一線を画した、現実主義的な軍事・外交戦略の具体的な提示が必要だ。平和外交路線と護憲こそが、国家の安全と平和につながることを具体論で示すべきなのだ。さらに言えば、重要なのはこの右傾化の流れで日本が外交戦略を誤って貴重な人命が損なわれることがないようにすることで、決して道具に過ぎない憲法の条文を守ることではない。僕は少なくともこの流れでの改憲には反対だが、長期的には防衛力としての国軍の存在を容認したものに改憲した上で、日本が国際社会で平和勢力として活動していくのが望ましいと考えている。

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