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萱野稔人の"超"現代哲学講座 第34回

注目を集めるビッグデータ 喧伝される「統計学の勝利」の原点たるフーコー

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──国家とは、権力とは、そして暴力とはなんなのか……気鋭の哲学者・萱野稔人が、知的実践の手法を用いて、世の中の出来事を解説する──。

第33回テーマ「ビッグデータによる統治のスリム化」

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[今月の副読本]
『生政治の誕生』
ミシェル・フーコー/筑摩書房(08年)/5775円
思想家フーコーによる講義の記録集。1970~84年まで、コレージュ・ド・フランスで行われた13の講義のうちのひとつ。「生政治」という概念から衛生や出生率といった政治実践にて提起される問題の合理化を考察する。


 ここのところビッグデータという言葉をよく聞くようになりました。ビッグデータとは文字通り「巨大なデータ」のことで、これまでのデータベース管理システムでは記録や解析が難しかったため見過ごされてきた巨大なデータ群のことを意味します。

 たとえば今の日本ではほとんどの自動車にカーナビがついていますよね。多くのカーナビは人工衛星をつかったGPS(全地球測位システム)で自動車の位置を特定し、その走行データを逐一記録しています。そして、その位置情報を含んだ走行データは人工衛星をつうじて集められています。100万台の自動車の走行データをまとめると、1日でだいたい地球700周分のデータになるそうです。これほど巨大なデータはこれまで、どうやって管理して活用したらいいのかがなかなか見いだされずにいました。しかし近年では、車のスピードがしばしば急に落ちる場所、すなわち急ブレーキが踏まれた回数の多い場所を特定することで、事故防止対策に活用されるようになったりしているそうです。それだけ巨大データを解析し、活用する技術や手法が発達したということですね。

 あるいは、ここ数年で急速に普及してきた小売店でのポイントカードを例にしてもいいでしょう。これまでは、コンビニやスーパーなどの小売店側が客の購買動向を知ろうとするには、精度も高くなく標本数も少ないサンプルデータを使用するしかありませんでした。ときどきコンビニの店員が客の外見から「男か女か、年齢は何歳ぐらいか」を判断し、その情報をレジを打つときにいっしょに入力していますよね。しかしこれでは大ざっぱなデータしか得られません。

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