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第1特集
「帰れま10」の"カネとヤラセ"徹底追及!

超人気グルメコーナー「帰れま10」の“カネとヤラセ”をめぐる疑惑を追う

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──13年4月に発表された「年度視聴率」で、テレビ朝日はプライムタイムに加え、ゴールデンタイムも1位となり、二冠を達成。テレ朝の快進撃は止まらない。その大きな立役者となっているのがバラエティ番組『お試しかっ!』の人気グルメコーナー「帰れま10」である。視聴者からは、「ステマ」だの「ヤラセ」だの言われているが、その実態は果たして……。

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「帰れま10」で扱われると企業もウェブサイトで堂々告知している。右は「築地すし好」、左は「なか卯」。

 テレビ業界では「ラーメンと動物は数字を取る」という都市伝説がささやかれるほど、グルメを扱う番組が数多く存在する。情報番組や旅番組、バラエティ番組のコーナー企画でグルメを扱うのは定番の手法で、13年4月末の時点でYahoo!テレビの番組表で「グルメ」と検索すると、地上波だけで180件がヒットした。また、10年頃から『シルシルミシルさんデー』(テレビ朝日系)や『リアルスコープハイパー』(フジテレビ系)など、企業とタイアップする番組も確実に人気を集めている。そんな中、タイアップの手法とグルメ番組の要素をかけ合わせた内容で人気を集めている番組が『もしものシミュレーションバラエティー お試しかっ!』(テレビ朝日系)のコーナー企画「帰れま10」だ。

「帰れま10」はタレントが毎回チェーン展開する飲食店や大手食品メーカーの人気メニュートップ10を実際に食べて当て、正解が出るまで帰れないという企画。月4回の通常放送だけでなく、番組改編期などには「帰れま10」だけのスペシャル放送として2~3時間の特番が現在までに122回も放送されており、毎回15%前後の高視聴率をキープしている。通常番組では1時間程度メニューを延々紹介することになるため、放送翌日から紹介した企業の売上が大きく上昇し、ホームページがアクセス過多でダウンすることもあるなど広告効果は絶大だ。そうなると、当然「企業から番組にお金が出ているのでは?」と裏金の流れを邪推したくなるが……。

「番組サイドも紹介料などは受け取っていないと思いますよ。CMを入れてもらっている企業に顔が立ちませんし、もしバレたら大損害を被ります。仮に番組で紹介する尺をCM料金で換算したら、億単位の話になりますから」

 こう語るのは、大手番組制作会社の中堅ディレクターD氏だ。ただ確かに、企業からカネが出ているという一説もある。そこで、試しに番組で紹介された企業数社にホームページのお客様問い合わせフォームからメールを出してみた。ほとんどは「回答できません」という返答だったが、株式会社リンガーハットのみ「金銭を受け取ったり、支払ったことはありません」という回答が返ってきた。

 しかし、番組サイドに金銭的なメリットが存在しないわけではない。数々の人気番組を担当する構成作家のN氏は、次のように語る。

「番組で使用した料理の代金や調理スタッフの人件費など諸経費は、基本的に企業持ちでしょうね。グルメ番組でもタイアップ企業にスタッフのアゴ(食事代)マクラ(宿泊代)の負担をお願いするのは一般的ですから。スタジオを使わずに実際の店舗を借りてロケをするだけでも、番組としてはかなりの経費削減になります。『チューボーですよ!』(TBS系)や『料理の鉄人』を復活させた『アイアンシェフ』(フジテレビ系、13年3月末で放送終了)のようにスタジオにキッチンを持ち込む番組もありますが、あの手のつくりは非常にお金と手間がかかるんです。また、街ブラ系番組はタレントさんのケアと事前のリサーチ、許可取りが大変な割に意外と撮れ高が少ない。その点『帰れま10』はただ当たるまでメニューを食べ続けるだけですから、台本すらロクに必要ないんです」

 また、N氏は番組がヒットした理由をこう分析する。

「『お願い! ランキング』(テレビ朝日系)や『帰れま10』は、バラエティにおける鉄板ネタのグルメ情報とランキングを取り入れたことが、テレ朝の発明だと思います。他人の評価を気にする日本人はランキングが大好きです。ランキングはたとえつまらないネタでも『第1位は何か?』とCM明けまで引っ張れ、クイズの要素も取り込めるんです。今までグルメ番組は誰も知らない店や高級食材など、情報の価値に重点を置いていましたが、シダックスなど単なるカラオケ屋のまずいメシがネタになるなんて、今まで誰も思いつきませんでしたよ。テレビ局も企業も両方メリットのあるいい企画だと思いますね」

タイアップ番組の人気はいつまで続く?

 吉本関係の構成作家S氏は、取材に対し「レギュラーのタカアンドトシが何度も『お試しかっ!』内で発言していますが、メニューは実際に食べています。ゲスト出演した芸人たちは『昨日は◯時までロケが終わらなかった』などとボヤいていますよ」と語るように、いわゆる仕込みやヤラセなどは行われていないという。

「1日に何本もまとめ撮りするグルメ番組の場合、タレントはほとんど食べずにADがこっそり捨てますが、最近のバラエティ番組の場合はリアリティが売り。局のディレクターに早回しで食べた証拠を流すことなどを要求されるので、それだけのために過酷な撮影をすることが多く、どこも現場は殺伐としていますよ」と、制作会社ADのF氏も証言する。

「帰れま10」のロケは最長で10時間以上に及ぶこともあり、番組サイドも胃薬を用意するなど対策をとっているようだが、レギュラーを務めるタカアンドトシのタカは番組の影響なのか順調に太り続けている。また、拘束時間も長くあまりにも過酷な番組内容に対して出演NGを出すタレントも数多いという。テレビ朝日は『いきなり!黄金伝説。』の「無人島生活」や「1ヶ月1万円節約生活」など、与えられた過酷な条件にタレントが挑戦する残酷ショー企画でヒットを連発してきたが、出演タレントの健康管理などが今後の課題といえるかもしれない。

 時に流行を作り出すほど影響力があるのがテレビというメディアの力。だが、その半面飽きられるのも早いだろう。

「グルメ系タイアップ番組の場合、は主要なチェーン系飲食店をすべて回りきった時が、終わりのサインでしょうね。どの局でもクイズ番組が流行していた時に構成作家は寝ても覚めてもクイズを考えて疲弊していました。“衝撃映像ブーム”の時はみんなYouTubeや映像素材を売る海外のフッテージ会社(素材映像を提供する会社)のストックを必死で探していましたが、今はどこもグルメ情報のリサーチに血眼になっています。ただ、ネタはいつか必ず切れるものです。それがやってきた時には、また何かはやりのネタに必死で食いついているんでしょうね」(前出・N氏)

「帰れま10」は全国にチェーン展開するなど知名度の高い企業を扱うことで、視聴者の共感が得られやすいのが人気の理由のひとつだが、その一方で大企業の数には限りがある。いくら広告効果があっても営業時間外に実際の店舗を使って長時間のロケをする必要があるなど、企業側の負担も軽くない。人気が出た現在では企業から売り込みがある場合もあるだろうが、それでも取材先の確保に苦慮するのか、すでに2回以上扱った企業は20社以上。飲食チェーンだけでなく、カップ麺など食品メーカーの人気商品を扱うケースもあり、いつかは限界が訪れるだろう。ブームの終わりは意外と早くやってくるかもしれない!?

(取材・文/N.A.B.E.)

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