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第1特集
【限定ロングver.】ジブリ鈴木Pが激怒! あの惨敗映画の敗因【2】

名刺に「動物占い」を入れるトホホな宣伝 会社を潰す”戦犯映画”が生まれる理由

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──総製作費××億円! なんて煽り文句が飛び交う映画業界。しかし、前ページまでで見たように、さまざまな理由で大コケしてしまう作品もある。膨大なお金をかけた映画がコケれば、関連会社はたまったものではない。事実、映画がコケて倒産や経営危機に陥る会社もあるのだ。ここでは、会社を傾けた“戦犯映画”と、その背景をご紹介しよう。

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『天国の門』では、実際に線路を敷いて、機関車を走らせるなど、大掛かり過ぎるセットが赤字の原因となった。引用:『天国の門』 マイケル・チミノ監督 1981年公開 より。

 映画の歴史を紐解けば、興行の失敗から関連会社を経営の危機に陥れた映画が数多存在する。本稿では、こうした“戦犯映画”が生まれる背景を、その具体的な作品と共に探っていく。

 まず前提知識として、映画業界には大きく分けて、映画作品を作る「製作会社」、作品を購入して各映画館に配給(ブッキング)し宣伝する「配給・宣伝会社」、劇場で作品を上映する「興行会社(映画館)」という3業種の会社が存在している(実際には、東宝などのように製作、配給、興行のすべてを行う映画会社もある)。その中でも、製作会社は製作費を出資もしくは他会社より募り、実際に作品を製作するわけだが、ここで作品の質を追求するばかりに製作費が膨れ上がったりすればその分回収が難しくなるなど、損害をもろにかぶってしまう部門でもある。こうした構造もあり、数多くの戦犯映画が製作会社の経営に大打撃を与えてきた。その例を見ていこう。

『地獄の黙示録』などの名作で知られる巨匠・フランシス・フォード・コッポラ監督が自身の制作スタジオを使って撮影した『ワン・フロム・ザ・ハート』【1】は、スタジオ内にラスベガスの街並みを再現するなど膨大な製作費として2700万ドルをつぎ込んだといわれている。しかし、興行収入は90万ドルと回収に失敗し、スタジオ経営は立ちいかなくなった。また、1963年公開の『クレオパトラ』【2】は、当初の予算が300万ドルであったにもかかわらず、主演のエリザベス・テイラーのギャラとして100万ドルを支払うなど紆余曲折を経て、製作費は最終的に3111万5000ドルになったといわれている。いざフタを開けてみると興行は低調で、製作会社である20世紀フォックスは存亡の危機に立たされることとなった。

 もちろん、邦画も負けてはいない。01年、映画事業に乗り出したゲーム会社スクウェア(現スクウェア・エニックス)は、看板ゲームの名を冠した『ファイナルファンタジー』【3】を製作、公開。当時としては異例のフル3DCGで、製作費は1億3700万ドルにまで上った。結果、スクウェアは約130億円の特別損失を抱えることとなり、これにより映画事業から撤退。同作は、赤字映画としてギネスブックに掲載されるという汚名まで残してしまった。また、「にっかつ」(現・日活)も過去に大きな痛手を負っている。92年、同社の創立80周年記念として、満州国を舞台に据えて中国ロケを行った『落陽』【4】は、不振続きだった同社の起死回生の一本として50億円もの製作費を投じるも、回収かなわず、同社は事実上の倒産に陥ることに。この不振の原因について、映画ライターのモルモット吉田氏は以下のように語る。

「それだけ製作費をつぎ込むのであれば、脚本の展開や監督のキャスティングを徹底的に詰めなければいけないのに、なぜか同作の原作者で小説家の伴野朗氏に初監督させるといった、どう考えても失敗であろうことをやってしまったのが敗因と考えられます」

 これまでの例からわかるように、製作会社を傾ける“戦犯映画”は、いずれも製作費が膨らみ、資金を回収できなかった作品だ。こうした作品が生まれる原因として、吉田氏は「プロデューサーが監督など制作陣の暴走を止められない」という問題を指摘する。投資額と想定収益を計算し、全体のバランスを調整するプロデューサーが役目を果たせず、製作費が天井知らずとなってしまうケースが後を絶たない。その代表例が、推定4400万ドル超の総製作費で350万ドルの興行収入しか得られなかった80年公開の『天国の門』【5】だ。この歴史的な興行の失敗で、当時大手であった製作・配給会社ユナイテッド・アーティスツは倒産した。

「スタジオではなく、わざわざ外に街並みや線路をつくってしまうという監督のこだわりで、製作費が膨大になってしまった。プロデューサーがしっかりしていれば、『この角度から撮るのであれば、この建物はいらない』などと指摘することで、監督の暴走を止められたはずですし、実際の街を使ってロケするという選択もあったはず。内容的にも難解で、とても大衆受けする映画だとはいえないのに、なぜそこまで製作費をかけてしまったのか、不思議でなりません」(吉田氏)

 それでは、なぜプロデューサーが現場をコントロールすることができなくなったのか。その原因を吉田氏は、1950年代のハリウッドに見る。「この頃から、責任者であるプロデューサーよりも監督や役者といった制作側の地位が上がっていきました。背景には世間にテレビが普及したことで、エンターテインメントの主流が映画からテレビへ移っていったことがあり、そんな中で、映画は従来の製作方法では当たらなくなった。そこで、実績のある映画監督や俳優に仕事が集中し、ギャラが高騰したことで、本来の力関係が崩れてしまいました」。監督、俳優、プロデューサーの力関係がバランスを失い、現場の暴走が始まれば、作品は音を立てて崩れてしまうのである。

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