――地方空港は赤字だからムダ──。この4空港の運営方法を知ると、そうは断定できなくなるかもしれない。赤字だろうと地域ぐるみで奮闘するさまに、地方空港の活路が隠されている!?
搭乗率を保証する!
能登空港
開港:2003年 場所:石川県輪島市 乗降客数:約17万人(08年) 赤字:約2.9億円(09年度) ターミナル・ビル管理会社の純利益:約2000万円(08年度)
(c) Koichiro Tsutsumi
航空会社と地方自治体が設定した基準以下の搭乗率(=提供座席数÷搭乗座席数)であれば、地方自治体が基準搭乗数なら得られたはずの差額分を支払い、基準以上であれば航空会社が販売促進協力金などを地方自治体に支払う。能登空港を管理する石川県は、そうした保証を全日空のグループ会社エアーニッポンと開港に当たり契約。また、輪島市の観光資源をフックに台湾の旅行社と提携して、国際チャーター便も就航。
ターミナルを企業に委託
名古屋空港
開港:1957年 場所:愛知県西春日井郡 乗降客数:約41万人(08年) 赤字:約1700万円(09年度) ターミナル・ビル管理会社の純利益:約1.9億円(09年度)
2005年の中部国際空港オープンに伴い、国から愛知県に運営が移管された名古屋空港は、正確には自衛隊との共用空港であるが、ターミナル・ビルの一体管理を企業に委託する指定管理者制度という仕組みを、地方管理空港では初めて導入した。また、空港の敷地内に大型ショッピングセンターを誘致。空港という社会資本を地方自治体が効率的に運営するためのひとつの手がかりを、この空港は示しているかもしれない。
同一経済圏での連携
佐賀空港
開港:1998年 場所:佐賀県佐賀市 乗降客数:約29万人(08年) 赤字:約1.7億円(07年度) ターミナル・ビル管理会社の純利益:約4600万円(09年度)
福岡空港の需要を補完するべく開港したものの、福岡空港の人気が衰えない上に北九州空港が開港したため、その2空港より便数も就航路線もはるかに少ない。そんな佐賀空港は夜間早朝の貨物便の誘致に挑んだが、佐川急便の航空貨物事業ギャラクシー・エアラインズが早々に撤退。ただし佐賀と北九州、福岡の3空港は、航空券によるが乗降する空港を変更できるマルチ・エアポート体制を採り、同一経済圏での連携を図る。
ビジネスライクなエアライン
北九州空港
開港:2006年 場所:福岡県北九州市 乗降客数:約124万人(08年) 赤字:19億円(07年度) ターミナル・ビル管理会社の純利益:約7900万円(09年度)
(c)Toshiyuki Sugimoto
この空港を拠点とする航空会社スターフライヤーは、ANAとの業務提携により低コスト運営を行う。その国内線は北九州=羽田便と羽田=関西便のみだが、1日14往復ある前者はビジネスマンが日帰り可能で、深夜・早朝便の利用者を福岡市内の天神駅と博多駅から空港までタクシーで無料送迎。さらに韓国・仁川空港へのチャーター便も。ただ、同社は赤字続き。国管理空港ではあるが、地域ぐるみのさらなるチャレンジが必要?