八百万の神が住まう国、日本。そんな全国津々浦々に点在する「神様」ばかりを被写体にした写真集『神様 OH MY GOD!』(日本カメラ社刊)が話題を集めている。この写真集を手がけたのは、数々の廃墟写真集などで知られる写真家・小林伸一郎氏だ。
「ブームの影響で国宝とか重要文化財の仏像を巡る人は増えていますが、日本中には、古くからの民間信仰や新しい時代に作られた"一般の神様"だっているわけです。そういった神様に焦点を当てた写真を撮りたかったんです」
今日の写真集に掲載されている神様は、お馴染みの男根崇拝や、再利用された巨大ボウリングピンに描かれた神様、現在は閉鎖されてしまった「極楽テーマパーク」といったB級の神様から、石仏のような信仰の深さを感じさせる古来からの神様など、バラエティに富んでいる。ところで、小林さんが神様に惹かれる理由はいったいどこに?
「はたから見るとキッチュで面白いんだけど、作っている本人たちは一生かけて向き合うほどに真剣なんです。信仰に対してすごい情熱があるからこそ、ユニークな神様たちが誕生するんです。地域ごとにいろんな神様がいるのも面白い。なぜか、愛知県は抜群に奇抜な神様が多いんですよ」
え、愛知県!? やっぱり派手好きな県民性を象徴しているんでしょうか?
「そうですね。東北の神様には根深い民間信仰があったり、九州のほうは大陸的なあっけらかんとした神様が多いんです。この撮影はライフワークなので、本を出版してからも神様の撮影は続けています。いつでも『神様2』を出版できるくらいストックはありますよ」
無名の神々にも"拾う神"あり。小林伸一郎の神様を求める旅は続く……。
(萩原雄太)
廃墟写真で知られる小林伸一郎が、日本全国で出会った神様を収めた一冊。パワースポットブームの現代、この写真集を見ればご利益間違いなし!
発行:日本カメラ社/価格:3150円(税込)
小林伸一郎(こばやし・しんいちろう)
講談社出版文化賞、準太陽賞などを受賞。「作品を出すことで、自分の写真に対する姿勢を見せるしかない」と語る小林氏。これからもさまざまなプロジェクトを画策中とのこと。