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連載
CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評第3回──NOVEL編

『ペンギン・ハイウェイ』で展開される森見登美彦の新しい強さ

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──"ベストセラー"のハードルが下がる小説界に残された小さな希望......そんな良質な小説だからこそ! ここでは愛ある批評を捧げます。

2010年9月号 NOVELクロスレビュー

■第143回芥川賞受賞作

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『乙女の密告』
作/赤染晶子
発行/新潮社
価格/1260円
発売日/7月26日

京都の大学でドイツ語を学ぶ"乙女"みか子。彼女は風変わりなドイツ人教授のゼミで、幼少期より大好きだった『アンネの日記』を題材に、スピーチコンテストを目指している。周囲の乙女たちと日々取り組んでいたが、ある日、教授とある乙女の間の"不適切な関係"にまつわる噂が流れ出す。それはみか子を苛み始め……。

【ライター・江南評】
★★★★★★★★☆☆
重苦しさの演出は一読の価値有り
スピーチコンテスト出場のために、女子学生たちが『アンネの日記』の一節を繰り返し練習する。主人公が暗唱の失敗に恐怖するそのフレーズこそアンネの、そして自己の存在理由の根幹だった──という物語において、小説の語りにもリフレインは効果的に使われる。誰が「乙女」的かそうでないかの噂が、いわば呪術的に濃度を高めていく。この重苦しさの演出方法は一読の価値あり。ただし芥川賞レースでは、一票差の鹿島田真希と同時受賞もありだったろう。

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