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ある芸人の赤裸裸笑(小)説「ニューヨーク戦記」第7回

スキャンダル報道? 関係ないよ、ここはニューヨークさ、ベイビー

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〈前回までのあらすじ〉
コメディと英語を学ぶため、単身ニューヨークへ修行に来た芸人・中牟田は、黒人の友人・Smokyから誘われ、ハーレムのコメディクラブへ出演することになった。当日いきなり、黒人コメディアンたちによる、ギャラのアップを訴える決起集会に同席させられ、しかもうっかり居眠りをこくなど、なかなか危ない状況をくぐり抜けた彼はいま、黒人の客たちの前に立っていた──。

 ハーレムの舞台に上がった中牟田はまず、"日本人は何でもスモール"ネタや、"箸でつまんで自慰をするアジア人"ネタなど、自虐的な下ネタを黒人女性ばかりの客前でぶつけてみた。彼女たちは、「そんなにチンコが小さいなら、今ここで見せてよ」とサパークラブで、酔っ払ったキャバ嬢みたいな、ゲスなリアクションをしてくる。中牟田は「私のチンコは小さすぎるから、顕微鏡を持ってこなければだめだ」と返した。ここまでは、まあまあな空気感だったのだ。しかしその後の、アジアンエスニックジョークになると、てんで笑いが取れない。 「アメリカでは銃を所持するのは簡単で、人殺しをするのも簡単だ。そして我々アジア人のギャングも銃は持つけど、弾が違う。日本人は、銃からわさび。韓国人はキムチ。中国人はトウガラシ」などと言っても、しれっとした反応である。ひとつネタが終わると、即ブーイングだ。中牟田には、そのブーイングに対応する英語力も、スタンダップコメディアンとしての腕も全然ない。というか、なんと野次られているのかも、正直よくわからない。ただただ、次のネタをやるのみである。彼を推薦してくれたSmokyが周囲の黒人たちに「黒人以外のコメディアンも聞いてあげよう」と諭すのだが、全然ダメである。中牟田はブーイングを浴びたまま、ステージを降りることになった。

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2019年12月号