サイゾーpremium  > 特集  >  ハバを利かせるのは一流大卒 ゼロ年代"...
第1特集
いまや広告代理店、銀行マンがヤクザに転職希望?

ハバを利かせるのは一流大卒 ゼロ年代"ヤクザ就職読本"【1】

+お気に入りに追加

――今も昔も、「ヤンキー&不良→ヤクザ」という基本的なリクルートスタイルは変わっていないようだ。しかし、最近では不景気も影響してか、一流企業からヤクザに"転職"する人も少なくないという。では、ヤクザになる方法というのは、時代ごとによってどのように変化してきたのだろうか?

 1992年に暴力団壊滅を掲げて、暴力団対策法が施行されてから20年近くがたった。しかし、警察発表によれば、「暴力団員数」はほとんど変わっていない。すなわち現在も組織は存在し、ヤクザになる人間が減っていないということだ。では、今どきヤクザになりたいというのは、どのような人たちなのだろうか?

「今でも一番多いのは、不良仲間が出入りしている組事務所から、というパターンですね。一方、終戦直後から60年代半ばくらいまでだと、戦後の混乱や貧困を理由に、裏社会に足を踏み入れる人が圧倒的に多かった」

 実話誌記者のA氏はこう語る。

「最近はプレカリアートも問題になっていますが、貧困や差別というのは、いつの時代も"闇"を生むもので、終戦直後の貧困や混乱は、そんな生易しいものではなかったはず。食えない大人たちはもちろんですが、親に死なれたり捨てられたりした浮浪児たちが街にあふれ、悪さをしていました。彼らがある程度大きくなると、ヤクザになるという感じです。『生まれて初めてカツ丼を食わせてくれた人に一生ついていく』とかは、さすがに今は聞きませんが、高齢の組長さんなんかに聞くと当時はかなりあったようです」

 また、こうした状況に加えて、好き勝手に振る舞う不良外国人に対抗するために徒党を組んで立ち上がるアウトローの活躍も目立ったようだ。

 ヤクザ雑誌の編集者B氏も、「日本の敗戦で解放された朝鮮人や台湾省民が『戦勝国民』を名乗り、日本に駐留する米兵も略奪や暴行を繰り返していた」と語る。

「厳密には、韓国・朝鮮や台湾は第二次世界大戦には参戦していないのですから、戦勝国ではありません。『日本の占領から解放を勝ち取った』ということなんでしょうね。あまりに混乱した状況下だったためか、白昼堂々と女性をレイプするなどひどい輩もいたそうです。しかし、GHQから武器を持つことを禁じられた警察は対処できず、時にはこうしたアウトローたちに不良外人叩きを依頼することもありました」

 日本の最大組織である山口組も、こうした中で存在感を増していった。カリスマといわれた三代目・田岡一雄組長は、自著でこう綴っている。

「現在ではとうてい考えられぬことであるが、当時はそれほど警察は戦勝国民に対して無力だったのである。その暴虐非道に対して身を挺して楯となり、防波堤となったのは、全国のヤクザであった。(略)われわれが率先して治安を守らねばならぬ時代だったのだ」(『田岡一雄自伝』徳間書店刊)

 田岡組長はこのときすでに山口組三代目を襲名していたが、出征や空襲などにより、組員もバラバラになっていた。そうした状況下であらためて仲間を作り、不良外人に対抗して街の治安を守るために結束を強め、日本最大のヤクザ組織の礎を築いたのだという。

 しばらくして戦後の混乱が落ち着くと、製鉄所や炭鉱、港などが活気づいていくが、戦前からこうした荒くれ者たちをまとめるのも、アウトローの仕事だった。B氏は続ける。

 「そもそも山口組も、初代・山口春吉組長が神戸港の港湾労働者を仕切っていたことが創設のきっかけ。労働者はみな気が強い荒くれ者だったから、一般企業の総務や人事の言うことは聞かなかった(苦笑)。しかも世間の目も今ほどヤクザに厳しくなかったから、企業側も大っぴらにヤクザに取りまとめを頼んでいたそうです」

いつの時代にもいた"良家"出身のヤクザ

 このように、戦後の混乱や差別、貧困がアウトローを生み、警察や企業がそれを利用してきたことは時代の流れだろう。しかし、最近では一流大学を卒業したサラリーマンになってからの転職などが増えているとか。

「裕福な家庭で育った人がヤクザや愚連隊に入るというのは、昔からありました。戦後に愚連隊の神様といわれた万年東一やその仲間の加納貢なども、いわゆる"良家"の出身です。こういう人たちは、いわば趣味でアウトローになっている。でも、最近目立っているのは、会社でリストラされたり、女性問題や使い込みで会社にいられなくなったりして、行き場をなくした人たちですね」(前出A氏)

 いわゆる一流企業出身者も多い。銀行や大手広告代理店、大手メディアなどの出身者もいるというから驚きだ。父親のコネで大手広告代理店に入ったものの女性関係でもめて退社し、そのままヤクザの大組織に拾ってもらうというような例は珍しくないのだという。

「金融やメディア関係の場合、仕事柄ヤクザとの付き合いも少なくないんです。そして、芸能プロダクション関係者。興行で仕事をしている間に、いつの間にか人脈もできているんです。特に最近では、大手広告代理店のほか、銀行出身者も多く、さすがに東大卒は聞いたことがないけど、そのほとんどが有名大学の出身だったりする。ただし、小学校もロクに行ってない叩き上げとはソリが合わないようだけど(苦笑)、人脈、語学力、ITや株の知識なんかが重宝されるから、親分の期待も高いんですよ」(同)

 彼ら元エリートたちの活躍の場は、主に株取引。匿名投資組合を使えばアウトローも株を合法的に取引できるため、今はマンションの一室にパソコンを何台も置き、ディーリングルームのようにしている組事務所も増えている。

「賭博やテキヤでは食えないし、不景気の昨今、みかじめ料にも限界がある。やはり株が手っとり早いといえます。中には『不景気で仕事がないからヤクザになりたい』と組の門を叩く人間もいるけど、一般人よりチャンスはあるが、儲けるのは簡単ではないよと言っておきましょう」(同)

 あらゆる分野でIT化が進み、ビジネスモデルの様相が変わっても、ヤクザになる"きっかけは金銭的問題"ということは多いようだ。
(取材・文/三島優)


Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年4月号

マニアックすぎる業界(裏)マンガ

マニアックすぎる業界(裏)マンガ
    • 【西島大介】がサイゾーマンガ特集を解説
    • 【田中圭一】SNS時代のマンガ編集者へ
    • 【中西やすひろ】お色気コメディマンガの今
    • 【西島大介】がサイゾーマンガ特集を解説
    • 【浦田カズヒロ】連載したのに単行本が出ない!
    • 【大橋裕之】ウマくてヤバい「グルメ 川崎」
    • 【見ル野栄司】スナックに現れるヤバい怪人
    • 【熊田プウ助】ゲイのハッテン場リアル放浪記

インタビュー

連載