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第1特集
専門家が名指しする生き残るor死ぬ会社【総合商社】

5大商社は投資で経営基盤 下位商社の命取りは"背伸び"投資!?

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 総合商社がトレード主体のビジネスモデルだったのは昔の話。現在は有力・有望事業への投資や買収により、子会社や関連会社の収益を拡大させ、グループ全体の収益を上げていくという事業投資主体の収益構造へと転換している。これは、製造業などが、海外企業と直接取引するようになり、従来のモデルで儲けることが難しくなったことに起因する。また、ほぼ同時期にバブル崩壊などで巨額の損失を抱えたため、生き残りをかけて各社が作り上げた収益構造だ。

 総合商社の専門紙「週刊ブレーンズ」の中岡稲多郎編集長は、業界の動向を次のように見る。

「総合商社は、金属やエネルギーなど、資源への積極的な投資を行ってきています。最近は、それらの価格が下がり、投資先の減損などが減益の理由にもなっているのですが、一方で、資源投資先のもたらす持分利益や配当金が収益の下支えになっている。この安定収益に、自動車やプラントなどの機械をはじめ、それ以外の分野の利益が上乗せされているというのが、今の商社業界の利益の構造です」

 このように扱うビジネスが多岐にわたるため、不況下でも手堅い食料や電力などの分野で利益が確保できる。だが、楽観視はできない。

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「各国の景気刺激策の効果で底打ち感が出てきていますが、底割れの懸念も払拭できません。ただどちらにしても、今までのようなアメリカ一極集中型の構造は終焉して、物やお金の流れにも大きな変化が起きるでしょう。その動きに迅速に対応できるかどうかが、今後は重要になってきます」(中岡氏)

 それでは、具体的には各社はどのような分野に注目しているのか?

「稼ぎ頭の資源に加えて、次の成長分野はどこなのかを見極めて投資していくことが求められます。たとえば、環境ビジネスや新エネルギーも、各社が力を入れている分野です。また、中国やインドなどの新興国市場への投資も積極的に行われています。不況下だからと守りに徹していると、パラダイムシフトへの対応が遅れてしまいます。そのためEXITルール(撤退基準)の厳格化などのリスクマネジメントを徹底し、不良債権に迅速に対応する一方で、限られた経営資源をリサイクルし、成長分野を見極めて投資していくことが重要でしょう」(同)

 こうした状況の中で今後、勝ち残る企業はどこなのか。

MEMO世界的な不況の中でも、総合商社各社は比較的傷が浅い。他業界では赤字企業続出の09年3月期の決算で、大手総合商社7社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日)全社が、減益ながら黒字を確保。営業活動による現金収支を表わす営業キャッシュフローは、例年より高い業績を上げている。

「5大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)は、デフレ不況を勝ち残り、盤石な財務体質を構築しています。業績の悪化はあるかもしれませんが、基本的には勝ち残るでしょう」(同)

 一方で厳しいのは、それ以外の下位商社。ある商社関係者によれば「双日は厳しいかもしれない。かつてのデフレ不況期、日商岩井やトーメン、ニチメンといった下位商社は身の丈以上の事業投資で財務体質を悪化させ、再編を余儀なくされた。今の状況では、まず、堅実なビジネスで足場固めをしないと負け組になる」

 企業買収価格の低下など、不況による追い風も多い商社業界。だが、リスク管理を厳格化しなければ、不良債権を抱え、淘汰の憂き目を見る可能性もある。正念場はこれからといえる。
(逸見信介)


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