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永田町の常識!?

小沢一郎の秘書だけじゃない! 政治資金を蝕む悪徳秘書の行状

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 小沢一郎民主党代表の公設第一秘書・大久保隆規被告が、政治資金規正法違反で東京地検特捜部に逮捕、起訴されてから約2カ月が経過した。秘書の監督責任が、その「上司」の国会議員にあるのは言わずもがな、02年に秘書の脱税容疑で議員辞職に追い込まれた加藤紘一氏の例もある。そのため、辞職まではないにせよ、せめて代表の座は降りるだろうと思われていた。だが、周知の通り、小沢氏は大久保被告の起訴後、「涙の会見」を開き、「政権交代の実現」「特捜部との戦い」をタテに居座っている。

「小沢秘書逮捕の報を受けた麻生太郎総理は、即座に『絶対に笑顔を見せるな』と周囲を引き締めました。マイクを向けられた各派閥会長も同調し、静観の構えを見せていましたね。細田博之幹事長だけは『(秘書の逮捕は)形式犯ではない』と、饒舌にひとり息巻いていましたが(苦笑)」(自民党担当記者)

 舞台となった「西松建設事件」では、二階俊博経済産業大臣も検察のターゲットとされており、自民党も感情をあらわにするわけにはいかなかったのだろう。その大人の対応が奏功したのか、ここにきて、麻生内閣の支持率は30%近くまで上がっている。

MEMO秘書
要職にある人に直属し、機密の事務や文書を扱い、その人の仕事を助ける役。また、その役の人。セクレタリー(『大辞林』より)。仕事はスケジュール管理や来客の接待など、多岐にわたる。カバン持ちとも呼ばれ、政界では、秘書が地盤を譲り受けることも少なくはない。

 一方、いまだ精彩を欠いているのは民主党。与党経験のない議員が大半を占めるこの政党は、舵取りを小沢代表の政治手腕のみに委ね切っていたからか、今回の事件が起こった後、善後策を練ろうにもその能力がないというのが現状だ。

「秘書逮捕の日、多くの議員たちは、特に会合をキャンセルもせず、普段通りに過ごしています。ある若手議員の同期会では、『お前が代表になればいいじゃん』『この会合がマスコミに知られるとまずいよな』と軽口が飛び交っていた。危機感がまったくないんです(苦笑)。自民党なら、すぐ党内政局が作られるでしょうけどね」(民主党関係者)

 そのためか、一部で"小沢辞めるべし"の声が上がっているにもかかわらず、鳩山由紀夫幹事長、菅直人代表代行、小沢氏の自民党離党以来の盟友である石井一、西岡武夫らベテランがこぞって「辞めるな」と説得したことで、小沢が留任している状態だ。

「逮捕当時、多くの議員が『辞めるべき』と思っているのに、オフレコでしか話さない。逮捕後、小宮山洋子、近藤洋介の両議員が代議士会で小沢代表の辞任を促しましたが、その真意を聞こうと殺到したメディアの取材をすべて断っている。こうした辞任要求発言は『民主党は不正を許さない健全な党だ』とアピールしたかっただけの茶番だったという話ですよ」(民主党担当記者)

 実は、秘書逮捕から時間がたった現在でも、こうした行動に与野党の国会議員が軽々しくツッコめないのには理由がある。多くの議員が秘書の不正行為に苦慮しており、彼らの不祥事は「明日は我が身」であるためだ。

「昨年末、『週刊新潮』が、自民党の山内康一議員の元政策秘書G氏が投資名目でカネを集めている実態を報じましたが、警視庁は詐欺容疑で捜査を進め、立件される見通しです。『小遣い稼ぎをさせてあげよう』などと、秘書仲間や親しい番記者に持ちかけ、それぞれから何百万円という単位でカネを巻き上げていますからね。これができたのも、Gが、政策秘書という肩書に加え、人脈や情報を提供し、信頼できる人物だったためです」(社会部記者)

 また、テレビの政治番組への露出が多く、連日ブログを更新、自身の行動をガラス張りにして「クリーン政治家」のイメージのある山本一太・自民党参院議員も、秘書の「被害」に遭ったひとりだという。

「ブログの中で『眠れないほど悔しい夜』(4月6日付)というタイトルで、ある人物への怒りをぶつけているんですが、その人物こそが政策秘書のYなんです。英語が堪能で、見た目もインテリのYは、山本の秘書だけあって、マスコミ業界の知人も多い。ただ、秘書の給料では到底行けないような高級クラブに出入りし、国会近くのホテルを定宿にしていた。そのカネを、山本の資金管理団体から捻出していたようです」(自民党関係者)

 そのYは、前出のGの投資詐欺の被害者でもあるのだが、当然山本は激怒してYをクビにした。だが、「ガラス張り」が山本の売りのはずなのに、この件の取材には逃げ回り、ブログでも詳細を報告していない。

「中川秀直や小池百合子の側近として顔が売れ始めた中山泰秀議員も、最近、政策秘書のSをクビにしました。Sが、パーティ券の代金の一部を自身の口座に振り込ませているのが発覚したためです」(前出・社会部記者)

 さて、これら身内の不祥事は、一般企業なら「横領・背任行為」などと捜査当局への告発も辞さないだろう事案だ。しかし、永田町では国会議員が胸に秘めることで内々に処理され、秘書も税金で禄を食む身分にもかかわらず、報じられることは驚くほど少ない。

「被害届を出すなど自身の不祥事を公にしてしまうと、自身の選挙に影響することも当然ある。それに議員自らカネ集めに奔走するほどヒマじゃないから、ある程度秘書の裁量に委ねざるを得ないからね。Gの投資話はやりすぎにしても、Yはボスが顔が売れている山本議員だから問題になっただけ。Sや大久保被告の件に至っては、ベテラン議員の事務所ならどこもやっていること(苦笑)」(ベテラン秘書)

 例えば、中国地方のある大物議員の秘書は、地元ゼネコンを仕切っていることで知られているが、議員は秘書に 「俺に迷惑をかけなければ、カネはどうとでも使え」と耳打ちしている。また、あるベテラン秘書は、自分ひとりで通っている銀座のクラブへの支払いを政治団体経費で落とし、堂々と収支報告書に記載させている。つまるところ、カネ集めや選挙という「結果」を出して議員の信頼を得さえすれば、給与以外に自由になるカネがいくらでもあるのだ。

 こうした永田町の常識のせいで、国会議員は「監督責任」を認めたがらないわけだが、それはもちろん間違った考え方だ。秘書に銀座クラブ遊びをさせるために献金をする人などどこにもいない。政治にはカネがかかるという「常識」も、蓋を開ければこういった側面があるのだ。
(松井 勉)

山本議員、ブログで吐露

山本一太議員は自身のブログでこうも綴っている。──自分は「銀座のクラブ」や「赤坂の高級料亭」にはほとんど行かない。 だいいち、そんな「金力」がない。(略)しかし、銀座や赤坂に頻繁に顔を出すようになったら、自分はきっと「勘違い」する。 「華やかな世界」に触れたら、身の丈以上のお金や地位があるかのような幻想を抱くかもしれない。 だから「行かない」と決めているのだ。──その胸中やいかに?


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