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第1特集
【編集長対談】今イチバン元気な雑誌の編集長が提言!

「MEN'S KNUCKLE」×「小悪魔ageha」 復活のカギは遊び心とオリジナリティ!

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──最近街のファッションを席巻している、「伊達ワル」と「アゲ嬢」。伊達ワルは雑誌「MEN'S KNUCKLE」(ミリオン出版)に登場するようなホスト風ファッション、アゲ嬢は同じく雑誌「小悪魔ageha」(インフォレスト)に登場するような、キャバ嬢系ファッションを指す。今や夜の世界を飛び出して、人気スタイルの一角を占め始めた「伊達ワル」と「アゲ嬢」を盛り上げてきた2誌の編集長が、両スタイルの聖地・新宿で昼間から、雑誌の未来を語り合う!

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「MEN'S KNUKCLE」編集長・倉科典仁(以下、) なんか最近、我々が同列に語られること多いですね。

「小悪魔ageha」編集長・中條寿子(以下、) 新宿の伊勢丹付近の通りとか行くと、「アゲハ」と「メンナク」(「MEN'S KNUCKLE」の通称)のカップルみたいな、黒とピンクの服着たカップルばっかりいますよね。だからそういう意味ではカップル誌っぽくなってる(笑)。

 ウチで紹介しているスタイルは男の子が対象なだけに、黒っぽいイメージですけど、アゲ嬢のスタイルって白っぽいじゃないですか。だからいいコントラストなのかもしれないね。

 白いイメージを持ってもらえるとうれしいですね。使ってる色は基本的にピンクなんですけど(笑)。でも10年前の「egg」(大洋図書)なんか読み返すと、男の子も女の子も蛍光色の服着てて、すっごいカラフルなんですよね。それがコントラストが出てきたっていうのは、時代なのかな。


 「メンナク」の場合は男らしいイメージを打ち出したいんで、意識的に黒を使ってるんですよ。ウチの雑誌に載っているような格好って、昔で言えばヤンキーっぽい服着て街を歩くみたいなイメージで、ちょっと勇気のいることじゃないですか。「アゲハ」もピンクはあえて使ってるんですか?

 ていうより、ピンクって女の子の永遠のテーマカラーなんです。だって女の子って、生まれたときからピンクとキティちゃんが大好きなんですよ。でもご本人には何回も言ってるんですけど、倉科さんが作った「メンナク」の前身の「GIGOLO-style」(ミリオン出版)を読んだ時はホント感動しましたね。あれ、もう4年前ですよね?

 そうなりますね。

 最初は広告を見たんですけど、キャッチコピーに「ジゴラティブな夜を飾る ジゴスティックな男たち」みたいな、もう何が言いたいのかわかんない(笑)、とにかく「ジゴロ」ってことを強調する言葉が躍ってて。超感動して、朝イチですぐに買いに走りました。

 ありがとうございます(笑)。

 当時は私、「Men's egg」(大洋図書)が一番面白い雑誌だと思ってて、でも「GIGOLO〜」見た時、「これはメンエグ超えるかな」って。雑誌であんなにドキドキしたの初めてだったから。それまでなかった雑誌で、でもみんなが読みたかったものを作ってくれたってことに対して感動したんです。だから「men's○○○」みたいな、そっくりそのまま「メンナク」のマネみたいな雑誌は許せなくて。

 マネなのかはわからないですが、それぞれの雑誌で個性が出せればいいんですけどね......。でもそれは「アゲハ」のほうが多いんじゃない?

 私としては最初、そういう雑誌が出てきてくれてうれしかったんですよ。昔「egg」が売れたら後追いがいっぱい出てきて、ギャルシーン全体が盛り上がったじゃないですか。でもあんなふうになるかと思ったら......。

 そうじゃなかったわけですね。ただの後追いというか......。

 そう、それで結局バタバタ廃刊してますよね。

 単なるマネではなくて、同じジャンルでも違いがはっきりしていて、オリジナリティがあればいいんですよ。じゃないと、同じマーケットで読者の食い合いになってしまって、お互いの実売が伸びなくなってしまいますよね。

──オリジナリティということで言うと、「漆黒でも暗黒でもない私たちの黒い闇」(「小悪魔ageha」09年2月号)とか、「ゴージャスファーで女が落ちる瞬間を体感せよ!!」(「MEN'S KNUCKLE」09年1月号)など、2誌とも言葉遣いが独特だと思うんですが。

 ウチはキャッチコピーでもデザインでも、「アウトローがカッコいい」ってことを押したいんです。

 ストリートスナップのページなんかでも、「魂まで食い込んだ漆黒も悠然と飼い馴らす」とか、男の子一人ひとりにつけられたキャッチが印象的で、目が惹かれちゃいますよね。

 でも、何もあそこまでやれって編集部員に言ったわけじゃないんですよ。

 アハハ! そうだったんだ。

「言葉が難しすぎないか? これウチの読者がわかるのか?」って(笑)。でもそしたら、ちょうど2ちゃんねるでウチのそういう言葉遣いが爆発的に話題になってるって聞いて、じゃあこのまま行こうかって。

 でも男の子って難しい漢字とか好きじゃないですか。暴走族の子でも、落書きなんかの字画は多いほうがカッコいいみたいな(笑)。個人的にキャッチもすごい好きですし、デザインも好きなんですよ。デザインでちゃんと文字を見せてるじゃないですか。

 ちゃんと見てくれてるな〜。でもキャッチとデザインという意味では「アゲハ」のほうが革命的だったんじゃないですか? デザインに関しては伝説的な話があって、この人(中條さん)、ロゴや誌面で使うピンクの色で、1週間悩んだらしいんですよ(笑)。

 ピンクのことに関しては、いつも考えてますね。

 「これは好きなピンクじゃない」って試行錯誤して、デザイナーさんが泣きながら作ってたという。

 デザイナー泣かせではあります(笑)。でもほら、「このピンクの服は着たいけど、こっちのピンクはちょっと......」っていう場合あるじゃないですか。だから1ページずつ、「本当にこの服が着たいか」って、自分で着る服を選ぶのと同じ感覚で作ってるんです。

 そのきめ細かさっていうのは、女性ならではだな。あとは、独特な言葉もそう。たとえばこの号(09年2月号)なら「桜吹雪に雲隠れ、イタズラ親指姫」や「やんちゃハニーな女将の花魁」というような。これは僕らの発想からは絶対出てこない。

 そこはよく言われるんですけど、それは単に編集者のエゴだと思うんです。だって読者は、そのへんあんまり意識してないんじゃないですか? 女の子って、文字をあんまり読まないから。可愛かったりキラキラしてたり、そういうところのほうに惹かれてる。

──「アゲハ」の08年6月号で、モデルの女の子たちが自身の「病んだ心」を告白する特集を組まれましたよね。そこで表紙に書かれた「病んだっていいじゃん」という言葉がネット上などで話題になりました。どういう基準でキャッチコピーをつけてるんですか?

 それはその時々の気分だったり、あとはこれまで生きてきて高校時代からずっと思ってることだったり。今も私の精神年齢はそこで止まってるんで(笑)。共有してる気持ちが、モデルの子も読者の子も私たち作り手も一緒なんです。その言葉ありきで内容を考えたりもしてますね。

 僕もタイトルとかキャッチとかから入るタイプなんで、その気持ちはわかりますね。今年の春物がどうとかそういうことは考えない。フレーズから特集作っちゃうから。

 それ、まったく私も一緒ですね。誌面の構成を考えるのもタイトルから入るから、編集部の子たちはいつも困惑してます(笑)。

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生き物としての男女の差 それがモテに対する違い

 僕、「メンナク」をファッション誌って言われると、いつも訂正してるんです。これは男として、オスとしてモテるためのカルチャー誌であってファッション誌じゃないと。だから「モテたい奴はこれを読め、200%確実にモテるから」っていう想いが強い。でも「アゲハ」は「モテ」って言葉、絶対使わないですよね?

 そうですね。だって「モテたい」っていうのは男の人の考え方だと思うんです。女って「不特定多数に好かれたい」っていう願望はあんまりないと思うんですよ。好きな人に愛されるってことが大事なだけで。だから「アゲハ」には男目線なんてなくていい。

 だけどほかの、「CanCam」(小学館)とか「ViVi」(講談社)とかの赤文字系女性ファッション誌なんかだと、「モテ」って言葉がしょっちゅう躍ってますよね。

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agehaモデルの武藤静香(左上)、桃香絵里(右下)。MEN'S KNUCKLE読モの直孝(左下)とケンタロー(右上)。(写真/「小悪魔ageha」「MEN'S KNUCKLE」2月号より)

 あれは、だから男の人が作ってるんじゃないですか?(笑)私は赤文字系雑誌読者の生態がわからないし、もしかしたら「合コン行って電通マンをゲットする」みたいな文化があるのかもしれないけど、私が知ってるこっち側の文化は「モテ」は関係ないんです。

 禁句にしてるんですか?

 うーん、というか、そう思ってないことは書きたくないっていう。

 やっぱりそれはオスとメスの差かな。男の本能っていうのは誰に対しても種まきたいけど、女の人はそうじゃない。でもこっちは男性誌なんで、わりとストレートでいいのかなって。男の子でもいますよ、「モテるためにこういう格好してるわけじゃない」っていう子。でもわけを聞いてみると「同性からの支持を得たい」と。でも男にモテる男っていうのは、女性にもモテるじゃないですか。だから男なら行き着くところは一緒なのかなって。


 そうですよね。でも女の子の場合は、同性に好かれる女って、別に男に好かれるわけじゃないですからね。逆に「アゲハ」の格好って、男受けは悪かったりしますから。

 我々の雑誌はよく、似てるとか、同列に語られることが多いですけど、もしかしたらすごい対照的なところにいるのかもしれない。

 ホストの子が髪の毛をすごいイジるのって、女の子の目を意識してるんでしょうけど、キャバの子があんなに髪を"盛ってる"のはお客さんのためってわけじゃない。むしろ迷惑なくらい盛ってたりもしますからね(笑)。

 そこには生き物としての差があるんじゃないかって思いますよね。「モテたい」っていう気持ちをそのまま言うことはエゲツないんだけど、ウチはあえてそこはストレートに言ってます。でも「モテ」に関しては立場が違うけど、根っこっていうか生き方はアゲハと一緒だっていう意識はありますよ。

雑誌業界が今見習うべきは「チャンプロード」!!

 雑誌自体、去年は休刊が多かったですよね。

 業界全体に元気がないからね。

──もうずっと不況だといわれ続けてていますね。その中で元気があるといわれている2誌の編集長として、今年はどうなっていくと思ってますか?

 状況的には、そりゃまずいとは思いますよ。だけど、ある意味すごいチャンスでもあるんじゃないですか? オリジナリティがあるものさえ出せば、読みたいなって思ってくれる読者はいると思うんで。勝てるチャンスはいくらでもある。

 さっきも言ったみたいに、マネしてるだけでは淘汰されていきますよね。例えば私たちと同じ毎月1日発売の女性誌って、どれも表紙がピンクでキラキラしてるんです。雑誌売り場を見てみるとどの雑誌もみんな一緒って、読者に対して失礼じゃないですか。「もっと読者の子たちに楽しみとか刺激を与えてあげよう」って意識を私たちが持たなきゃ、雑誌業界自体がダメになっちゃう。

 新しい企画を出しても、それが通らない会社もあるんでしょうけどね。

 でもミリオン出版さんは私の若い頃と変わらず、「実話ナックルズ」みたいな、「ブン殴る」系の雑誌をちゃんといまだに作ってるじゃないですか。それが許される会社があんまりないってことなんですかね。

 ウチはスキマ産業じゃないと勝てないっていうのが、どうしてもありますからね。

 それにしても、大手出版社さんはバイク便とか使いすぎなんですよ! あんなに出してたら、そりゃ雑誌潰れますよ。私なんか若いとき、彼氏が浮気してて、本当はそっち行きたいけど、泣きながら自分でデザイナーさんのとこに持ってってたのに......。

 (笑)。部数下がってきて焦って緊張して、作り込めば作り込むほど悪循環に陥ったりするんですよね。ウチは毎月、売り上げを確認する会議をやるんですよ。それでちょっとでも数字が落ちてると、胃にプレッシャーがかかる(笑)。辞書を作れっていうなら校正をしっかりしようとか思いますけど、雑誌の場合はそうじゃない。それよりも、もっと遊び心がないと。

 だからもっと「チャンプロード」(笠倉出版/クルマとバイクの専門誌でありながら、「国内唯一のヤンキー誌」を標榜する月刊誌)みたいな雑誌が出てきてほしいですよね。占いのページとか、載ってるファッションも10年間、全然変わってない(笑)。

 あのスタイルの潔さみたいなものはすごいですよ。「継続は力」っていう言葉あるじゃないですか。僕自身この言葉はすごく好きなんですけど、あの雑誌はまさにそうで。一時期売り上げも落ち込んだけど、ほかのヤンキー雑誌が消えていく中で生き残って、今やその手のファッションとかグッズの広告は独占ですよ。

 だって、ほかに代わりの利かない雑誌じゃないですか。文字の大きさがバラバラだったり、リード文だか本文だかわからなかったり、編集者の立場から見ればどうかなって思うところもありますよ。でも読者が求めてるものが、ちゃんとそこには載ってる。誰が求めてるかもわからない雑誌が、世の中には溢れすぎてるじゃないですか。

 そう、それを見つけていくことが大事なんですよ。「チャンプロード」で話がまとまっちゃいましたね(笑)。

(文/鈴木ユーリ)
(写真/有高唯之)

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中條寿子(なかじょう・ひさこ)
1978年、東京都生まれ。大学卒業後、英知出版(現・インフォレスト)入社。数々のギャル雑誌編集部に携わる。06年11月から月刊誌「小悪魔ageha」の初代編集長。


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倉科典仁(くらしな・のりひと)
1963年、東京都生まれ、25歳でミリオン出版に入社後、ヤンキー誌、車・バイク誌などのティーンを中心としたライフスタイル誌を経て、04年MEN'S KNUCKLE0号もである「G-STYLE」をスタートし、現在に至る。



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