【クロサカタツヤ×太田祐一】ウェブを見たアナタの情報は世界中で売られている!? 高度に発達した広告技術の真実

通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!

●オンラインプラットフォームとデータ利活用 取引形態の例
出典:総務省「平成29年版情報通信白書」より

――ウェブサイトを見ても、アプリを使っても、常に目の端に表示される小さな広告。テレビCMが時にユニークさで話題を呼んだり、記憶に残ったりするのに対して、消費者から前向きにとらえられ評価されることはほとんどないに等しい。一方で、時折世間を賑わせる、企業による個人のデータの収集。実は今、ネットの広告と個人のデータの収集が結びついて、とんでもない事態が生まれていることをご存知だろうか? デジタル広告の最前線で何が起きているのか?

クロサカ ECサイトに行くと過去に買った商品を元に、お薦めの商品が表示されます。また、最近は多くの店舗でTポイントやdポイントなどの、共通ポイントカードを導入しています。こうした仕組みやサービスの背景には、消費者のデータを集めて、より効率よくビジネスをしたいという企業のニーズがあります。一方で、企業が消費者のデータを集めることや使うことに対して、否定的な意見も多いです。そもそも、こうしたデータの活用について、僕たち消費者はどのように考えればよいのでしょうか。今日は、こうしたデータビジネスについて詳しい、データサインの太田祐一さんに聞いてみます。

太田 僕はもともと、ニュース記事を元に分析して株価を予測するプログラムを作って起業しました。その頃、広告業界がアドテク【1】といってデータ分析をガンガンやり始めた頃で、自分たちの分析技術が活用できそうと考え、この分野に入りました。それからはずっと、データを集めて広告を最適化することや、それを企業が持つ顧客情報と連動させるマーケティングオートメーションなどをやってきました。

クロサカ 例えば、サイゾーのサイトを見ると、このサイトを何回見たとか、どのサイトからリンクを辿ってきたのかといった、利用者情報がサイトの運営側に取得されているということは、多くの人がなんとなく理解している。でも、それがどのように使われ、どのくらいのビジネス規模になっているのかは、ほとんど知りません。

太田 以前のネット広告はコンテンツベースで、このコンテンツや記事に合う広告を表示するということをやっていました。しかし今のネット広告は、データを集めて、そのデータをマネタイズするために広告を打つというのが主流です。

クロサカ え、単に情報メディアの対価としての広告、ではないんですか?

太田 もちろんその考え方は現在も前提にあります。ただ、運用型広告【2】の普及によって、メディアに来た読者に合わせた広告を出すことが一般化しました。例えば子育てメディアなら、従来ならば男女問わず子育て用品の広告を出していたのを、読者が男性だったら男性向け保険の広告を出すといったものです。だから、広告にとって重要なのは、広告を出すコンテンツの質ではなく、読者のデータをいかに集めるかという点に変わってきているんです。

クロサカ それって、社会問題になった医療情報メディア「WELQ」などの、いわゆるキュレーションサイトの構造そのものですよね。

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