防衛省がサイバー攻撃を受けない意外な理由――ホワイトハッカーの登用で安心?サイバーガラパゴス日本の強み

――映画で活躍するなど、ロマンある存在として語られたハッカー。ところが、現在では「フィッシング詐欺などのちまちまとした犯罪をやっている」という話がある。一方で、ISISに攻撃を仕掛けると宣言したアノニマスや、ホワイトハッカーと呼ばれる集団も注目を集めている。激変するハッカーの世界に迫った。

日本の教育機関でも、サイバー技術に関する教育が急がれる中で、情報セキュリティ大学院大学なども開設されている。

 今年1月、フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」が襲撃され、12人が殺害された事件を受けて、国際的ハッカー集団「アノニマス」が、イスラム国やアルカイダなどのイスラム過激派への報復を行うというビデオメッセージを発表した。彼らは、このプロジェクトを「#OpCharlieHebdo」と名付け、ホームページやソーシャルアカウントに対して次々と攻撃を仕掛けている。

 インターネット上で、ハッカーたちによって行われる「サイバーテロ」「サイバー攻撃」というハッキング行為は、今やミサイルなどでによる物理的な攻撃と変わらない甚大な被害を及ぼすようになり、2011年にはアメリカ・ロバート・ゲーツ国防長官が「外国政府によるサイバー攻撃を戦争行為と見なす」とする方針を表明している。「第五の戦場」となったサイバー空間では、日々、国境を超えた激しい戦闘が進行しているのだ。

 もちろん、サイバーテロを受ける可能性は、日本も例外ではない。実は、14年の一年間だけで、日本国内に対するサイバー攻撃は大小合わせて250億件に上っており、将来的には日常生活を脅かすほどの危機的な被害を及ぼす可能性も高まっている。この事態を受けて、日本政府では内閣官房内に「サイバーセキュリティ戦略本部」を発足し、10名程度が採用された模様だ。ハッキング技術に長けたハッカーたちを「ホワイトハッカー」として、政府や企業にリクルートする流れは、すでに世界各国で進行しており、日本でもようやく本腰を入れて獲得に乗り出した。関東学院大学准教授の岡嶋裕史氏は、この動きを積極的に支持する。

「実際にハッカーとしての技術がある人なら、敵のハッカーが生み出す最新技術に追従しやすいはず。むしろ、今までなぜやってこなかったのか? という話ではないでしょうか」

 だが、日本政府の登用によるサイバーセキュリティ対策は、実際にうまく機能する試みとなるのだろうか? 

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