「日本プロレス界を導いたタイガーマスクの哲学」

――本で蘇る、僕たちの青春だったあのプロレスラー・格闘家回顧録。

『ケーフェイ』(佐山聡著/ナユタ出版刊 ※現在は絶版)

 本月から格闘技関連本コラムを書くことになった。ライター業を生業としながら、いわゆるプロレス村の住人ではない僕が、これまで読んできた、これから読むであろう格闘技本を、いちファンの視点で紹介していきたいと思う。で、第1回目に選んだのは、香港のぽっちゃりカンフー家とのトンマな対決動画や、道場の練習生相手にブチ切れている動画で人気の初代タイガーマスクこと、佐山聡による『ケーフェイ』(ナユタ出版)だ。

 タイガーマスクを脱いでから約3年後の1985年に出版された同書で佐山は、格闘家として純粋に強さを追求するために立ち上げた団体「シューティング(現・修斗)」にかける想い、そしてプロレスとは“どういうものか”を語り、プロレスは自分が理想とする格闘技から遠くかけ離れた茶番であるとこき下ろしている(この本自体、ターザン山本が書いたという説があるが、ここは素直に佐山の言葉として受け止めておくことにする)。タイガーマスクをただの布切れ、タイガーマスクとしてリングに上がることを生き恥だったとまで言い放つなど、周囲のイメージと自身の理想との乖離に、苦悩を抱えていたことがよくわかる。

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