宴の後の空地

「千代田区内神田1丁目」(1988年11月13日)(c)浜昇

 アベノミクスという官製バブルと東京五輪の決定によって、東京の不動産価格が上昇しているという。安倍政権が取り戻そうとする日本は、バブル景気に踊った頃の日本なのだろうか。「いつか来た道」という言葉しか思い浮かばないが、「災害」は忘れた頃にやってくるものだ。

「千代田区東神田1丁目」(1989年5月28日)(c)浜昇

 1989年のバブル崩壊前後、東京の中心部には多くの空地が点在していた。地上げや再開発、土地転がし、建て替えなどの結果だ。写真家の浜昇はバブル崩壊前後に凄まじい勢いで都心に広がっていた空地を88年秋から3年間、地図を片手に丹念に撮影して回った。撮影範囲は神田から新宿にかけてのすべての空地。人々が生活を営んだ場所が交換可能な商品とするべく解体され、かつての生活の匂いは跡形もなく脱臭されてゆく。

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