吉田正樹が選ぶ"挑戦するドラマ"──過去の成功や実績に呪縛されずドラマ制作者はもっと冒険すべし!!

──フジテレビの大物プロデューサーとして、数々の名バラエティ番組を世に送り出してきた吉田氏。現在もコンテンツプロデューサーとして活躍し、テレビ業界の動向に詳しい氏は、キャスティングや内容において、「チャレンジングな」ドラマこそ今最も求められているのではないかと語った。

吉田正樹氏の著書『人生で大切なことは全部フジテレビで学んだ』

 今期のドラマを占う上で、今年の4月クールを振り返ってみましょう。すると、面白い現象がありました。大ヒットドラマ『JIN─仁─』(TBS)の最終回の視聴率は26%。実はその裏で、『マルモのおきて』(フジ)が15%も取っているんです。

  大河ドラマのような豪華キャストで、制作費もふんだんに使った『JIN─仁─』に対し、『マルモ』は阿部サダヲさんと子役。キャストは決して盤石ではありません。しかし、ふたを開けてみると内容が良く、子役の芦田愛菜さんはもちろん、鈴木福くんも大ブレイク。近年は、「このキャストでコケるわけがない」というドラマがコケて、ダークホース的なドラマが注目を集めることが増えています。その象徴が『マルモ』でした。

  7月クールのドラマだと、『ドン★キホーテ』【1】が味なキャスティングをしていますね。児童相談所の青年・松田翔太さんと、極道の親分・高橋克実さんという組み合わせに異質感があり、アンパイに走っていないのがいい。しかも、完全オリジナルストーリーだというのが、ドラマウォッチャーの琴線に触れます。脚本の力よりもキャスティングに頼りがちな近年のドラマの中で、こういう作品がダークホースになることに期待したいですね。

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