防波堤による安全への驕りと自然災害との向き合い方【後編】

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個人に帰依する防災の主体そして社会のニーズ

神保 これから防災都市を造るための議論として、まずは何から始めるべきでしょうか?

片田 今は1メートルの津波でも町が浸水してしまう状況なので、まずは倒れてしまった堤防をなんとかしないといけません。また今回の地震は、陸地側の地盤を沈下させています。あらゆる議論をする前に、暫定的にでもこれに対処しなければならない。

 復興をどうするかの話ですが、釜石市唐丹に本郷集落という地域があります。ここは明治三陸津波のときよりも昭和三陸津波のとき被害が激しかったところで、それ以降に高所移転が行われました。海沿いに住んでいた人たちが標高20メートル以上の地点に引っ越したのです。今回、そこでは一軒も津波の被害に遭いませんでした。このように高所移転が抜本的な解決策であることは確かです。

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