アメリカに担がれたTPPへの参加と"低い"日本の関税率【前編】

──ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

 菅直人政権による目玉政策のひとつが、「平成の開国」である。これを実現するためにTPP(環太平洋経済連携協定)への参加を掲げている同政権だが、決定リミットである6月はもうすぐそこに迫っている。こうした中、大手マスメディアは、参加しない場合、「鎖国状態に戻る」「世界経済に取り残されてしまう」と警鐘を鳴らしているが、京都大学大学院助教の中野剛志氏は、これらの指摘は「冗談としか思えないほど、デタラメだ」と一蹴する。中野氏の言は、一体何を意味しているのだろうか? 数字のトリックに見るTPPの危険性について考えてみたい──。

今月のゲスト
中野剛志[京都大学大学院助教]

神保 今回は、菅直人政権が年頭に掲げた3本柱のひとつ「平成の開国」──その具体的な政策として浮き上がってきたTPP問題を取り上げます。自由貿易や保護貿易について、まず僕たちは、やや先入観で考えてしまっている面があるのではないでしょうか?

宮台 僕は2010年からTPPについて「やむなし」という立場を取ってきました。しかし、データを読み解いていくうちに、考え方を変えなければいけないと思うようになりました。

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