オカルトか? 奇跡の医療か? ホメオパシー事件と代替医療の正当性

(絵/笹部紀成)

──昨年発生した山口県の女児死亡事件をめぐる報道で、にわかに耳目を集めた"ホメオパシー"。実は、ホメオパシーを含む代替医療への批判は、2000年代を通じてインターネット上の論戦テーマであり続けてきた。「砂糖玉を飲めば病気が良くなる」という治療法を、なぜ人は信じてしまうのだろうか?女性誌や育児雑誌などでは特に批判もなく各種代替医療が取り上げられている現状で、この問題に対し、社会が取り得る対策を考える。

 2009年10月、山口県で生後2カ月の女児がビタミンK欠乏性出血症に陥り、呼吸不全で亡くなるという事故が発生した。原因は出産を担当した助産師が女児にビタミンKを投与しなかったこと。新生児や乳児はビタミンKを十分に生成できないことがあるため、定期的な投与が必要となる。ところが、助産師は「自然治癒力を促す」という錠剤しか女児に与えていなかった。

 母親は今年7月、乳児死亡の原因は助産師の過失として山口地裁に提訴。これを機にメディアは同事件の報道を開始した。当初は「助産師が女児に自然療法で使用する錠剤を与えて死亡事故を招いた」という報道に留まったが、次第にその錠剤が「レメディ」と呼ばれるホメオパシーで使われる"薬"であることに注目が集まり、「ホメオパシーによる死亡事故」という文脈で報道されるようになった。

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