捕鯨問題で報じられない捜査機関の介入と不条理【中編】

グリーンピースが示した4つの根拠による正当性

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神保 しかし先月6日、2人には有罪判決が出ました。今回、裁判所は単純な窃盗事件として扱いましたが、グリーンピース側は通常の窃盗事件ではなく、4つの根拠をもって、正当な行為だと主張してきました。その1番目が「不法領得の意思の有無」についてですが、この不法領得というのは聞き慣れない言葉ですね。

星川 窃盗の刑法上の判例や定義は、伝統的に固まっています。「不法領得」とは、そのものの「経済的な利用を想定して」盗ったか否か、ということにかかわる問題です。この鯨肉の場合、食べる、あるいは売るという目的で持ち出したのではないし、検察官側もそれを認めている。そのため窃盗には当たらないというのが、日本の刑法の伝統的な解釈のはずです。しかし、青森地裁の裁判官が下したのは、「NGOの分際で、捜査機関のような捜索・押収をしてはならない」という判決でした。今回の事件を不法領得というならば、最高裁で今までの判例をひっくり返さないといけないくらい、おかしな判決なのです。

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2024.4.29 UP DATE

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