批評家・東浩紀が選ぶヤバいくらいためになった本

バカに見られることを恐れず、思想によって社会を動かすために

(写真/田中まこと)

 人文系の思想・批評の本ということで、国内の出版状況を振り返ると、今年は宮台真司さんの『日本の難点』(幻冬舎新書)をはじめ、高原基彰さんの『現代日本の転機』(NHKブックス)とか、佐々木敦さんの『ニッポンの思想』(講談社現代新書)とか、いわば「ゼロ年代総括」といった本が目立ちました。つまり、2008年の宇野常寛くんの『ゼロ年代の想像力』(早川書房)あたりから始まった、1995年を転機としてそれ以降の日本で生まれてきたさまざまな思潮を振り返りつつ、これからの展望を考えるという思潮が徐々に共有されて、それが社会的な認知を受け始めたのが09年だったと思うんですね。

 しかし、誰かひとりの著者がそれを代表して「この一冊」という感じにはなっていない。だから、申し訳ないけど、自分が作った思想雑誌である『思想地図』のvol・3とvol・4を挙げさせていただきました。

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