アメリカ型金融資本主義の 終焉と日本に必要な"想像力"

──9月下旬、ブッシュ政権が、アメリカ金融機関の破綻を食い止める目的で急遽取りまとめた金融安定化法案を、下院が否決した。これを受け、ニューヨーク株式市場はダウ平均が過去最大の下げ幅を記録するなど、混迷の度合いを強めていった。巨万の利潤を求めた金融機関が暴走した結果、金融危機が起き、そのたびに規制を強化してパニックを鎮めるというのが、経済史から見られる習わしである。今回は、経済史に詳しい若田部昌澄氏と共に、肥大化する金融経済とウォール街のビジネスモデルについて論じ合う──。

【今月のゲスト】
若田部昌澄[早稲田大学政治経済学術院教授]

神保 9月29日、金融機関の破綻を食い止める目的で米・ブッシュ政権が取りまとめた金融安定化法案を、米下院が否決しました(10月3日、修正案を可決)。その結果、ニューヨーク株式市場はダウ平均が777ドル安と過去最大の下げ幅を記録、日本の新聞を読むと「何をやっているんだ」「自分の選挙区の事しか考えていない」という批判的な論調のものが多かったが、同法案に反対した下院議員の主張にも見るべき点はある。今回は早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授を迎え、金融の問題のみならず、それを支えている社会的文脈についても議論ができればと思います。まず、アメリカが"この期に及んで"法案を否決したという状況をどう見ますか?

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