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写真時評~モンタージュ 現在×過去~

戦死者たちの肖像(下)

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長泉寺、2010年(撮影/志賀理江子)

 日露戦争の戦病死者数は日清戦争の10倍ともいわれる数に上り、全国津々浦々に軍人遺族が出現した。それに伴い各地の神社や仏閣では弾丸除けの祈願や、戦死者供養のための肖像が多数奉納されたという。

 岩手県遠野市にある長泉寺にも軍人たちの肖像画や肖像写真が数多く奉納されているが、その中には「供養絵額」という絵馬のような大型の木額が混じっている。

 供養絵額とは、江戸末期から大正期まで岩手県の中央部にあった習俗で、来世における故人の姿を描き、死者の冥福などを願って遺族たちが納めたものだ。本堂に入ると下陣上部に供養絵額と死者の遺影が所狭しと並べられており、とりわけ軍服を着た軍人の姿が目につく。まだ若い彼らは、戦死者なのだろう。これらの遺影は、明治天皇の御真影に代表されるような軍服姿の貴顕像の形式を踏襲しており、そのことが死者に威厳を与えている。写真は故郷や駐屯地の写真館で晴れの出征の記念に撮影されたものだろう。肖像画のほうは、遺族たちが手元にあった小さな写真を画家に頼んで大きく引き伸ばしてもらったもののように見える。こうした写真は、最初から遺影用として撮影されたわけではないだろうが、戦地での死者が増えるにつれ、家族に自分の姿を遺しておきたいとカメラの前に立つ者も増えていったはずだ。

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