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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

結婚・離婚は両親がキーパーソン――安室奈美恵の結婚と親

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『安室奈美恵 エピソードプラス -Infinite- (RECO BOOKS)』(アールズ出版)

 芸能人が結婚や離婚という人生の大きな決断をするとき、事務所の許諾はもちろん必要だが、常にカギを握るのは両親。一般社会でも真っ先に親に相談や報告をするように、芸能人も変わらない。メディアも親の居所を掴み現地まで取材に行くのが基本になっている。特に親が地方に住む場合「わざわざこんな遠くまで来てくれて」と取材を受け入れてもらえやすい背景もある。離婚騒動で揺れる松居一代の両親のところにも、最初はテレビなどが取材に訪れたが、当然のように親は娘の味方。あれだけの暴言を吐いて暴走する娘をかばうだけ。なるほど絆の強い親子であると世間を驚かせた。どういう反応であれ、親の発言は誰もが関心を寄せる。それが時には芸能ニュースの核となることもある。それを痛感したのが安室奈美恵(39)の結婚だった。

 安室がダンサーだったSAM(55)と電撃結婚を発表したのは1997年の事だった。

 人気絶頂時に「デキ婚」。まだ幼さが残る20歳のときである。出産のため1年近く産休・育休に入ることも発表された。嬉しさいっぱいで結婚報告する2人だったが、事務所関係者は複雑な思いだった。こんな話を聞いた。

「伸び盛りの歌手が休むリスクは大きい。単に結婚したいという話なら当然、事務所は強硬に反対して結婚させなかっただろうが、デキ婚では反対もできない。多分、安室は反対されるのを見越しての妊娠だったのでしょう」(芸能関係者)

 この安室の結婚をきっかけに芸能界にデキ婚が続出。デキ婚が当たり前のようになっていた。ビッグニュースにメディアも湧きたった。大半のメディアは安室の母親が暮らす沖縄に飛んだ。沖縄本島北部・大宜味村。のどかな集落に一際目立つ、大きな二階建ての家。近所では「安室御殿」と呼ばれ、母親孝行に安室が建てたものとも言われていた。私も沖縄に向かったが、みんなが一斉に取材に行っている最中であり、彼らと一緒になれば、取材拒否でも取材に応じた場合でも、同じ話しかとれない。テレビや新聞は速報性が優先されるが、週刊誌は中身が重要で、それも独自のものが必要。時間差を設ける作戦をとった。先に押し掛けた報道陣は取材拒否を受け、三々五々退散した。実家が静かになった日を狙って家を訪ねた。もう取材陣は東京に戻り、ようやく普通の生活ができると思っていた矢先の来訪。驚いた様子を見せたが、取材は拒否。取材はしつこい人のほうが勝ち目がある。朝晩、呼び鈴を押しては帰る。この繰り返し。後日、作戦を変更。呼び鈴では家の中から声だけで断られるため、出かける時を外で静かに待つ。

 早朝から待つこと2時間。無線で呼んだタクシーが横付けになった。案の定、母親・安室美恵子さんが出てきた。初めて母親に接触。「困ります」という母親を車で追った。向かった先は車で30分ほどの名護。買い物の後、知人に会っていた。終わるのを待ち、近くのハンバーガー店に誘った。

 最初は世間話である。母親と私は同年代。取材対象者と取材する側は年齢が近いなど共通点が多くあるほうが話も合い、取材が有利になることもある。最初は沖縄での生活などについて雑談。時折、笑みも見せようやく馴染んでくるのを感じた。しめたものだ。お酒が好きだと聞き、夜の食事に誘った。沖縄は男女問わず飲む酒は泡盛。ここでも相手に合わせる。苦手だった泡盛を一緒に飲むにつれ、ようやく母親は素の顔になり心を開いて話すようになった。取材拒否していたときとは違い、饒舌である。娘・奈美恵の話も語り出した。「結婚、良かったですね」と型通りの言葉を向けると。母親はこう答えた。

「嬉しいけど、複雑なんよね」と言って一呼吸おくと、「私も最初の結婚は奈美恵と同じ二十歳で、しかもデキ婚でした。奈美恵から電話で話を聞いたとき、嬉しさと同時に私と一緒だと思ったの。私はうまくいかずに離婚。やはり若かったのよね。奈美恵は大丈夫かなあ? という不安もよぎりました」

 母親からしか言い出せない言葉。自身の人生と奈美恵が被ったことで語らせたのだろう。この話を聞いた瞬間、母親の話はもっと奥深いものになると確信めいたものが生まれた。

 それから何度となく沖縄に通い母親の本格的な取材が始まった。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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