>   >   > 【コラム】齢(よわい)67歳でアイドルにハマった男の手記

齢(よわい)67歳の週刊誌記者が突然アイドルにハマってしまった……余生を乃木坂46に捧げる!そんな覚悟で送る、オジサンのヲタ活ノススメ。

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『ぐるぐるカーテン』(通常盤)

 昨年の夏のある日私は神宮球場にいた。自分の娘ほどの年齢のアイドルのライブに67歳で初めて参加したのだ。

 さて、そんな私がハマった乃木坂46だが、音楽番組にバラエティに、CM。テレビに出ない日がない。AKB48の公式ライバルとして登場したものの「二番煎じ」と見られたり、ぐんぐん前に出る強引さがないことから2012年2月のデビューシングルも一部のファンが応援するという状態だった。しかしテレビ東京の冠番組「乃木坂って、どこ?」が毎週放送されることでメンバーのキャラの魅力が発揮され、新曲が次々と発表されヒットするようになり、紅白にも出場しファンが大幅に増えたのだった。今では「いちばんチケットが取りにくいアイドル」といわれるくらい人気は過熱状態。「よくテレビ見るあの可愛い少女たちは何者」と思っている人も多いはず。

 私は開演を前にときめきながら、彼女たちに導かれるようにここまで来た過程を思い返していた。少年時代にビートルズやストーンズの洗礼を受けてロック少年になった私。レッド・ツェッペリンやディープパープルにハマり来日公演には当たり前のように行き「やっぱ、ペイジのギター最高」なんて喜んでいた。しかし、その一方でテレビで見る南沙織や麻丘めぐみのような清楚で可愛いアイドルなら大好きだった。とはいえまさかこの歳になってアイドルのライブに行くなんてことは夢にも思わなかった。昔のロック好きの友達にライブ参加を話すと一瞬、小説『沈黙』に出てくる棄教したパードレを見るような目で私を見た。しかし乃木坂46は私が心が震えるような青春の日にタイムスリップできるパワーを持っていたのだ。彼女たちが歌って踊る姿を目の前で見たくてしかたなく万難を排してライブに参加することにしたのだった。そして在宅ファンから一歩踏み出した時世界が変ってしまった。

中高年に刺さるにはワケがある!キーワードはノスタルジア

 人気の要素はメンバーが美形ぞろいであることやダンスがかっこいことや、楽曲がいいことなどいろいろある。また、従来のアイドルと異なり、白石麻衣、西野七瀬を筆頭にすでに10人近くが雑誌モデルとして活躍していることで、そうしたモデル活動が女性人気につながりライブ観客の2割以上が女性を占めるという、坂道グループの中でも独特な発展を遂げているのも特徴的だ。しかし、彼女たちに魅了されているのはなにも従来の坂道グループファンや、モデル活動によって引き寄せられた若い女性たちだけではない。実は私のような中高年のハートも掴んで離さないのだ。あえて言うが、乃木坂46は若い人だけでなく中高年こそその魅力にハマれる要素をもったアイドルグループであり、これからもそうした増えていくのではないかと予想する。

その理由はまず、メンバーが各々が美少女清楚な衣装と相まって青春時代に憧れた女子高の生徒を思わせるに十分な資質を持っていることがあげられる。しかも楽曲がも青春のときめきとかだけでなく、ほかのアイドルが歌わないようなシリアスなものもがけっこう多い。例えば8枚目シングル「君の名は希望」などは、孤独で影の薄い少年が自分の存在を認めてくれた少女のおかげで世界観が一気に変わってしまうという感動的なものだ。自転車全力で走らせて少女の乗ったバスを追いかけたり、図書館で女子たちのヒソヒソ話に聞き耳を立てたり、告白したくてもできない情けなさとか誰にでも心当たりがあるような内容が盛りだくさん。ライブ中メンバーが「これまでの集大成見せつけよう!」と叫ぶと、おじさんたちの心の中で凍冷保存していた「青春」は一気に解凍させられ若い日が蘇ってしまうのだ。おなじみの「あの人を思ってひとり涙の雪見酒」の演歌の世界もいいけどこういう世界もいいではないですか。

黒歴史を乗り越えて成長していく彼女たちに熱くなる

 メンバーがかわいい、曲がいいだけではない、中高年がジーンとするのは、この何も屈託がないように思えるアイドルたちの中にひきこもり、いじめなどの「黒歴史」を抱えたメンバーがいるということだ。今年グループを卒業した大人気メンバーの橋本奈々未はアイドルになった動機を貧困脱出のためと告白し、親孝行をできる状態になったから卒業するとして世間を驚かせ感動させた。乃木坂46のメンバーの多くはオーディションを受けいろんな過去の自分を乗り越えて新しい自分を創造し、メンバー間の葛藤も乗り越えてついにはトップアイドルへ。これまで見たことのない景色を見ていることになる。かつて小柳ルミ子、キャンディーズ、小泉今日子、おニャン子くらぶそれぞれの世代でその時代にいろいろなアイドルに出会っていた中高年なら、そうした古き良きアイドルの姿を懐かしく呼び起こしてくれる乃木坂46の魅力にハマれそうではないか。昔なら「この記事を読んだらすぐレコード店に走れ」となるだろうけど、今はYouTubeであっという間に彼女たちの歌とパフォーマンスが楽しめる。かくいう筆者も「君の名は希望」を聴いて感動して何年か乃木坂46の在宅ファンとして出演番組を録画したりYouTubeなどを漁りながら「修業」を続けたがどうしてもライブに参加したくてしょうがなくなったのだ。

 しかし中高年がアイドルのライブに参加して若者から嫌がられないだろうかという不安が頭をよぎったのだ。でもそんな思いは杞憂だった。SNSのコミュニティで自分がいかに乃木坂46が好きかを語り、ファンに問いかけたところ、「乃木坂46好きなら大歓迎です」と優しくしてもらったのだった。しかもトイレが近いシニアにトイレの行きかたまでアドバイスしてくれたのだ。若い人にそんな風に親切にしてもらい、素直に嬉しかった。ライターである私は感謝を込めてライブ参加までのみんなの協力ぶりや夢のようなライブの感想を週刊誌に寄稿した。それに対してもSNSのコミュニティの乃木坂46ファンの人たちは喜んでくれた。そしてその後もSNSを通じていろいろな人と出会い、ライブに一緒に行く歳下のLINE仲間ができて毎日いろいろなやり取りをし、おかげでチケット入手困難なライブにもほとんど参加でき楽しい日々を送っている。この7月も思い出の神宮ライブに参加した。今回は1人でなく5人の仲間と全員そろって!そしてメンバーの最終目標だった東京ドームでのライブの発表を聞いてみんな感動の嵐に巻き込まれてしまった。

 今後はメンバーの魅力や乃木坂46のファン活動を通じて出会ったファンのことを紹介したい。中高年がアイドルにハマるのは全然OKで実際ライブには50代くらいから上の人がたくさん来ているのだから。46人のメンバー一人ひとりの名前と愛称と顔を覚えて、歌っている映像を見ながら心の中で名前を呼べばそれだけでボケ防止になる。乃木坂46のレパートリーに「心の薬」という曲があるが、中高年の胸をときめかしてくれる乃木坂46こそ「心のアンチエイジング薬」なのだ。とにかく一人でも清楚な美少女はインパクトあるのに団体でかかってこられたらもう降参。少しでも乃木坂46が気になっている人は思い切って新しい世界に入ってみましょう。待ってます。

土肥 真也
1948年生まれ。長年週刊誌記者として実用やエンタメなどの記事を取材・執筆。今も現役でウェブニュースなどの仕事をしている。ハードロック好きでツェッペリンやディープパープルの初来日ライブに行ったことが記憶の中の宝物。しかし、たまたま聴いた1曲で乃木坂46が降臨してしまう。以来座学で数年間乃木坂46を学ぶも、我慢できなくなり昨年初めてライブに参加して初めてサイリウムを振りまくった。その感動を週刊誌に寄稿、以来年下のファン仲間ができて楽しく一緒にライブに通っている。夢は家族席、女性席に次ぐシルバー席を用意してもらい死ぬまで乃木坂46のライブに通い続けること。

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