>   >   > 「ファンキー・ホモ・サピエンス」【47】/【エド・シーラン】エミネムに救われたホビットの叫び
連載
「ファンキー・ホモ・サピエンス」【47】

【エド・シーラン】エミネムに救われたホビットの叫びが胸を打つ!

+お気に入りに追加

『÷』

【エド・シーラン】エミネムに救われたホビットの叫びが胸を打つ!の画像1

エド・シーラン(販売元:ワーナーミュージック)

UKでのリリース週に70万枚近く売れるとともに、全曲がUKシングル・チャートにランク入りした怪物アルバム(ストリーミング再生が凄まじかったため)。先行シングル「Shape of You」は、TLCの「No Scrubs」を引用。続くシングル「Galway Girl」は、かき鳴らすギターとヒップホップなビートが合体した逸品、エリゾンド制作。


 死地に赴く若きドワーフのつもりで歌いました。

 自曲についてそう語った青年は、しかし、ドワーフよりホビットに見える。なんにせよ、小柄な体格といい、やや幅広な顔といい、「中つ国の住人」色が濃厚だ。

 ところが、「ビルボ」「フロド」「ギムリ」といったトールキン直系な名前ではなく、彼の名は「エドワード」だ。人間と考えると、ステレオタイプなアイリッシュの外見ともいえる……特にその赤毛は。おまけに姓も典型的なアイルランド名。だが、その青年が、実はイングランド生まれ、イングランド育ちとは。当方の予想はまたも裏切られるのだった……。

 今回の主役、「エド」の愛称で知られるエドワード・クリストファー・シーランのことである。

 私を打ちのめしたのは、エド・シーランが歌う映画『ホビット 竜に奪われた王国』の主題歌「I See Fire」だ。

 ほとばしるトールキン魂は、身も心もホビット化したかのごとし! それもそのはずで、幼き日のエドが父に初めて読んでもらった本も、自分自身で初めて読破した本も、共に『ホビットの冒険』。「生まれて以来、ずっと愛読してます」と言い切るトールキン信奉者なのだ。

 しかし、トールキン魂だけなら、私はここまで入れ込まない。デビュー・アルバム『+』が“白いブルーノ・マーズ”と評されたことからもわかる通り、エド・シーラン=「R&Bやヒップホップを自然に呼吸してきた、新世代の白人」と思えることが大きな要因だ。

「I See Fire」は、『ホビット』の世界に寄り添う曲調、生ギターがポロロンと響くフォーク・バラードだ。だが、要所要所でリズムが際立つ上に、R&Bリスナー(私)の琴線に触れる歌唱が、なによりもいい。

 いわば、「メタリカ meets フランキー・J」。バラード「Nothing Else Matters」あたりを演奏するときのメタリカに通じるヨーロッパ直系の叙情性と、歌そのものから香り立つR&B/ヒップホップ的センス、その類い稀なミクスチャーなサウンドがエド・シーランなのではないか。

 このアーティスト性はどう育まれたのだろう?

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミア

2018年11月号

禁断の家電・ガジェット

禁断の家電・ガジェット
    • テック系企業の【経済地理額】
    • 次世代のテック系【注目都市】
    • 世界を席巻する【アジア家電】
    • 【D.O.I.×BERBAL】安室奈美恵論
    • 【アムロ】を支えたPの本音
    • 知られざる地方【テック企業】
    • 米国【大麻用電子たばこ】産業事情
    • 【星名美津紀】家電とエロス
    • 進化し続ける【アダルトVR】の今
    • 最新【バーチャルセックス】のしくみ
    • 【三代目JSB・山下健二郎】スニーカー愛
    • 【三代目Air Jordan Brothers】選出!
    • 【リバタリアン】生んだネットの終焉
    • 各国【ネット規制】の事件簿
    • 【ゲーム依存】はビョーキか否か?
    • 【モノ雑誌】の「読プレ」豪華番付
    • 【景品表示法】を弁護士はどう見るか

防弾少年団がアメリカを制する日

防弾少年団がアメリカを制する日
    • 今さら聞けない【BTS】基礎講座
    • 数字で見る【K-POP】世界進出
    • BTS支持層【アジア系アメリカ人】の連帯

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【忍野さら】友達の財布に私のトレカを入れるんです。
    • 【小林レイミ】デビュー4年目の初グラビア!
    • 振り返れば【芽衣】がいる
    • 【電力業界】に切り込んだ元フィンテック起業家
    • 【新潮45】を潰したのは誰だ!
    • 【阿波踊り】内紛の実情
    • 【中国】を支配する巨大顔認証システム
    • 【88ライジング】がアジアと米国を繋ぐ
    • 町山智浩/『ブラック・クランズマン』アメリカ・ファーストを謳うのは誰か
    • 政権の利益誘致政策に踊らされる【英語教育】の欺瞞
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子「ドラッグ・フェミニズム」
    • 「念力事報」/黒い水脈
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 【おとぎ話みたい】文化系男子が患う恋愛の病
    • ギャング集団に所属するアパレル屋
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • ビールの世界を超越し始めた【職人】
    • ひとりぼっちたちを繋ぐ【薔薇族】の誕生
    • 幽霊、雑誌の去勢と俗物主義の衰退。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』