>   >   > AKIRAがファンを獲得するワケ【1】人気マンガ『AKIRA』の寿命
第1特集
AKIRAがファンを獲得するワケ【1】

鳥山明・浦沢直樹もマネをしていた!? 名作マンガは2度死ぬ!?人気復活“AKIRAが死ぬ日”

+お気に入りに追加

――日本のマンガ業界に革命をもたらした『AKIRA』。マンガの神様・手塚治虫さえ嫉妬したというその圧倒的な画力とストーリーは、連載終了から30年たった今もファンを獲得し続けている。アニメ版は海外の映画監督から称賛され、実写化の噂も絶えない。なぜいまもファンを魅了しつづけられるのだろうか?

 82年~90年まで「週刊ヤングマガジン」(講談社)に連載されていた『AKIRA』は、マンガ史に燦然と輝く金字塔として、現在でも読み継がれている名作だ。マンガの神様と呼ばれる手塚治虫をして「驚嘆し、羨望し、憧憬してかなわないと思う」「一も二もなく降参する」(『ユリイカ』88年・総特集大友克洋)と言わしめたその画力は、岸本斉史、貞本義行、弐瓶勉、浦沢直樹ら多くのマンガ家たちに絶大な影響を与えている。しかも、90年の連載終了から今年で27年になるにもかかわらず、いまだにハリウッドでの実写化の噂が絶えず、プロデューサーとしてレオナルド・ディカプリオや監督として『インターステラー』『ダークナイト』で知られるクリストファー・ノーランなどの名前が挙がっては消えている。

 世の中に、優れたマンガは数多く存在する。しかし、なぜ『AKIRA』は特別なマンガとなり得たのか? そして、なぜ現在まで読み継がれているのか? さまざまな世代の証言から、名作マンガを検証してみよう。

劇画を葬った神の所業

1702_akira01_230.jpg
『AKIRA』
大友克洋/講談社(82年)/1080円~
新型爆弾が落とされ、第三次世界大戦勃発後の2019年。荒廃した都市「ネオ東京」を舞台に、アキラと呼ばれる超能力者をめぐって行われる軍やゲリラ組織の攻防を、暴走族のリーダー金田を中心に描く。

 73年、大友克洋は「漫画アクション増刊」(双葉社)から、『銃声』(単行本未収録)でデビューした。デビュー当初は、『AKIRA』には見られない劇画の影響が色濃い作風だったが、圧倒的な画力によってマンガファンたちの注目を集め、70年代末には吾妻ひでお、いしかわじゅん、諸星大二郎らとともに「ニューウェーブ」と呼ばれる。大友克洋の登場は、当時のマンガ界に「革命」と呼ばれるほどの衝撃を与え、「大友ショック」なる言葉がにわかに語られ、圧倒的な実力差に筆を折るマンガ家も絶えなかったという。『BECK』『Paradise Kiss』『ルパン三世』などを手がけたアニメ監督の小林治氏もそのひとりだ。

「かつて、ヤングマガジン編集部にマンガの持ち込みをしていました。その時、『大友さんの新連載のコピー読んでみたい?』と言われたのが、まだ世に出ていなかった『AKIRA』の第1話。それを読んだ瞬間、『俺のマンガ人生が終わった』というほどの衝撃を受けました」

 では、大友作品のいったい何が革命だったのだろうか? マンガ評論家であり『テヅカ・イズ・デッド』『マンガを読む。THE MANAGA REVIEWS』(共に星海社新書)などの著作で知られるマンガ評論家であり、東京工芸大学マンガ学科教授の伊藤剛氏は、「大友ショック」についてこう語る。

「『AKIRA』以前から、大友作品は『カミソリ感覚』『乾いている』と語られていました。熱血マンガ的な『成長』や、カウンターカルチャーの熱量を脱臼させ、当時の白けた空気を描いていた。例えば、1978年に発表された『大麻境』(『ショート・ピース』収録)という作品では、大麻から『反体制』の象徴という意味付けを外し、単に暇な大学生が無為に大麻を探すという作品にしています。そうしたドラマ性の排除が新しかった。同時にそれは、劇画的な描画の修飾も取り去った、日常の些事を描写しうる徹底的なリアリズムに支えられていました。マンガ表現のリアリズム自体が更新されたんです」

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミア

2017年11月号

ファッション(禁)コレクション2017

ファッション(禁)コレクション2017
    • 【タレントブランド】の内情と成否
    • 【Supreme×ヴィトン】コラボの裏側
    • 【ダニエル・ウェリントン】バカ売れの謎
    • 【裏原系】人脈のその後
    • 【遠山茜子】B-GIRLになる!
    • 【インスタグラマー】の熾烈な戦い
    • 【IT】が進むファッション業界の未来
    • インスタの太鼓持ち【女性ファッション誌】
    • 【デーブ・スペクター】が語るトランプのスーツ
    • 【メラニア夫人】への衣装提供拒否の裏側
    • 【ZOZO】の好きな所、嫌いな所
    • 【ファッション史】から見るゾゾ
    • 【送料自由化】を物流の専門家が分析
    • 【メルカリ】が勝った本当の理由
    • 【メルカリ出品者】が語る闇市の姿
    • 【ホットペッパービューティー】の罠
    • 【スポーツアパレル】がパリコレ占領中
    • 【ナイキ】の最先端戦略を覗き見!
    • 【高級機械式腕時計】はなぜ高い?
    • 【スマートウォッチ】台頭は吉か?凶か?

本誌特選!8人の(サ)な女たち

本誌特選!8人の(サ)な女たち
    • 歴代カバーガールグラビア傑作選

山地まり、大人Kawaiiレトロモダン水着

山地まり、大人Kawaiiレトロモダン水着
    • 【山地まり】Fカップとレトロ

NEWS SOURCE

    • 【安室奈美恵】引退宣言で揺れる音楽業界
    • 【市川海老蔵】と松竹の懐事情
    • 【ジュリーさん】がアベマ企画に大激怒

インタビュー

    • 【吉田まどか】福岡女のシンデレラストーリー
    • 【CASCADE】元祖おしゃれ系バンドの今
    • 【CHAI】女たちが追い求めるかわいい

連載

    • 【今野杏南】これで最後なんです。
    • 【佐藤江梨子】政治性が響くモンパチの歌
    • 【長澤茉里奈】合法ロリ生春巻き
    • 【斉藤由貴】スローな由貴でいてくれ
    • 【インターネット】への誤解がもたらす日本の危機
    • 【特別編】九州に格闘技界旋風起こす男
    • 【元・モー娘。】歌よりも正直なトーク
    • 【三波春夫】が2017年に蘇る
    • 哲学者・萱野稔人の「"超"哲学入門」
    • 【フレンチ・モンタナ】モロッコ系最強ラッパー
    • 【電通過労死事件】から考える労災
    • 【治療共同体】で精神病院を開放せよ!?
    • 町山智浩の「映画でわかる アメリカがわかる」/『バリー・シール』
    • 世界一災害に弱い【東京】備えなき首都大災害
    • 小原真史の「写真時評」
    • 赤い屍と緑のタヌキ
    • ジャングルポケット/フェラペチーノで自分好みのプレイを!
    • 【最高の離婚】夫婦の溝を埋める最良のテキストドラマ
    • ボディペインティングが導く愉楽
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 幽霊、政治と信仰と破綻の円環構造。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』