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「取材禁止」の避難所が続出したワケ

読売新聞記者が殴られた!? 熊本地震報道と“メディアスクラム”の裏側

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新聞記者が語る熊本地震の“真相”

多数の死者が出て、被災範囲も広範に渡った地震災害としては、東日本大震災以来5年ぶりの大災害となった熊本地震。その報道においては今回も、大手メディアによる“メディアスクラム”が批判される場面が多かったが、そうした批判を、当の新聞記者たちはどう見ているのだろうか? 数人の現役記者に集まってもらい、話を聞いた。

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『特別報道写真集 平成28年熊本地震 -発生から2週間の記録-』(熊本日日新聞社)

A:全国紙ベテラン記者
B:全国紙中堅記者
C:全国紙中堅記者

A 4月14日と16日に連続して起こった熊本地震。災害報道って、事件報道や政局報道に比べて、わかりやすく人の役に立てる現場だし、若い記者の訓練の場にもなるから、各社とも記者を派遣していたね。

B 「本震」と呼ばれる最大の地震が後から来たと言うのが大きかったですよね。14日夜の最初の地震から一夜が明けた頃には、被害が熊本県益城町の一部だけに集中していることが判明し、政府筋からは「数日たてば現場は落ち着く」という安堵の声【1】が聞こえてきた。特に伊勢志摩サミットの警備を抱えていた警察関係者からは、救助活動のために派遣していた機動隊を「2~3日で戻せる」という観測も上がっていた。そんな中、16日未明に最初の地震を上回るマグニチュードの地震が来て、一気に被害範囲が拡大してしまう。

C 現場に行くと、あらためて災害取材の難しさを思い知らされましたね。最初の頃はまだ興奮して取材に協力していた被災者も、数日たてばメディアを目の敵にするようになって、「取材禁止」をうたう避難所が増えていった。読売新聞の記者がパイプいすで殴られたとか、毎日新聞の記者が避難所で写真を撮ろうとして被災者に囲まれて逃げ出したとか、トラブルも聞こえてくる。あるカメラマンは、「熊本は火の国やけん」と冗談交じりに語っていたけど……。

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